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2024年9月30日【ESG】

ホンダ埼玉製作所、環境省が定める自然共生サイトに

坂上 賢治

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埼玉製作所 完成車工場(空からの写真)

 

30by30目標達成に向けた生物多様性保全の認定を取得

 

本田技研工業(ホンダ)の四輪車生産を担う埼玉製作所完成車工場(寄居工場)・敷地が、環境省の定める生物多様性の保全区域「自然共生サイト」として9月27日に認定された。

 

同社は2022年4月より、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画。そうしたなかで自社所有の敷地が、自然共生サイトに認定されるのは、2023年10月のモビリティリゾートもてぎ(栃木県)に続き2件目。ホンダの生産拠点としては初となった。

 

 

上記の自然共生サイトは、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定するものであり、認定区域はOECMとして国際データベースに登録される。

 

また「30by30」は、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する国際的な目標として、2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締結国会議(COP15)で採択されたもの。

 

これを受けて日本では、30by30目標の国内達成に向けた仕組みの構築を目指し、環境省主導で「生物多様性のための30by30アライアンス」を設立し、自然共生サイトの認定を進めている。

 

敷地内で確認されたゲンジボタル

 

今回認定された寄居工場は、ホンダの四輪完成車生産に係るグローバルマザー工場として2013年に稼働を開始。工場運営による地域生態系への影響を低減するため、敷地の30%近くを生物多様性に配慮した緑地として保全するだけでなく、「里山管理」を企業として実施することで、地域経済と生物多様性の保全の両方に貢献することを目指している。

 

また地元自治体などと協働して、水田ビオトープなどを環境学習の場としても活用、従業員や地域住民の生物多様性理解促進にも取り組んできた。今回、こうした活動の実績が評価され、寄居工場の敷地95.1haのうち、27.2haが自然共生サイトとして認定された。

 

敷地内で確認されたカヤネズミ

 

そんな寄居工場は、建設以前から存在するコナラ・クヌギ林、スギ・ヒノキ植林、アカマツ林、モウソウチク林などを剪定、伐採、林床管理することで、地域生態系の保全に重要な里山環境の維持に取り組んでいる。

 

湿地環境についても、水田管理(田おこし、代掻きなど)、水路、ため池、調整池の草刈り、浚渫(しゅんせつ)などを行い、地下水涵養(かんよう)、下流側に位置する水田への水の供給、雨水流出抑制機能の保全を実現している。

 

加えて外来種の駆除にも取り組んでおり、アメリカザリガニは自動捕獲装置・たも網、定置網などを用いて捕獲し、コンポストに投入して処理することで、環境にも配慮している。これらの取り組みの結果、敷地内にはカヤネズミ、ゲンジボタル、ヨツボシトンボなどの希少動植物も多く生息している。また、今回認定された敷地は緑地と隣接しており、周囲の鉄道や道路などの人為的影響から動植物を守る樹林地の役割を果たしてもいる。

 

敷地内で確認されたヨツボシトンボ

 

具体的には施設南側の樹林地や西側のビオトープでは、アナグマ、イノシシ、ニホンジカなどの動物の痕跡が確認されており、隣接する緑地への動物の移動ルートとしても重要な機能を持つ。更に寄居工場では従業員や地域住民を対象に、水田ビオトープや竹林などを活用したイベントを開催し、ビオトープの働きや目的、多様な動植物の保全やその管理方針の共有と地域へのPR、生物多様性の主流化に向けた普及啓発などにも貢献している。

 

埼玉製作所 完成車工場 自然共生サイト概要は以下の通り

 

サイト名称:HondaWoods みなみ寄居 集いの里
サイト所在地:埼玉県大里郡寄居町富田2354
サイト面積:27.2ha
統治責任者氏名:本田技研工業株式会社
管理責任者氏名:本田技研工業株式会社
連携団体
 埼玉県寄居町
 水田ビオトープを利用した田植え~稲刈り体験、
 アライグマ防除
 男衾(おぶすま)自然公園管理組合:
 植栽木の維持管理や、周辺の自然資源の情報交換
年間の管理期間:通年
管理開始年:2010年

 

以下参考情報
Honda ESG Data Book 2024
https://global.honda/jp/sustainability/report/

 

Honda Report 2024 統合報告書
https://global.honda/jp/sustainability/integratedreport/

 

モビリティリゾートもてぎ 自然共生サイト認定リリース
https://global.honda/jp/topics/2023/c_2023-10-06.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。