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2025年2月21日【ESG】

ホンダ、国連交通安全基金とパートナーシップを締結

坂上 賢治

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UNRSF ハイレベル誓約フォーラムでスピーチする本田技研工業 安全企画部長 髙石秀明氏

 

本田技研工業は、グローバルで交通事故死者低減に貢献するべく自動車メーカーとして初めて国連交通安全基金(UNRSF/United Nations Road Safety Fund)とパートナーシップを締結。先の2月17日にモロッコのマラケシュで開催された「UNRSFハイレベル誓約フォーラム」で、同パートナーシップを通じた取り組みの方向性を発表したことを2月21日に明らかにした。

 

同社は、道を使う誰もが事故に遭わない社会の実現に向け、「Safety for Everyone」のグローバル安全スローガンのもと、ハード・ソフトの両面で安全への取り組みを行ってきた。その取り組みの最終目標は、2050年に全世界でHondaの二輪車・四輪車が関与する交通事故死者ゼロにある。そんな指針に沿い、2030年に全世界で自社二輪車、四輪車が関与する交通事故死者を半減させることをマイルストーンに設定している。

 

今回締結したパートナーシップでは、各国の交通事故分析と交通安全政策支援を2つの重点領域と定め、パートナーシップを通じて各国と取り組みを行うことで、交通事故死者低減に貢献していく。また交通事故死者の多くを占める、新興国での二輪車が関与する死亡事故を減らすことを目指し、アジアを中心とする新興国を重点地域に設定した。

 

国連交通安全基金 事務局長 ネカ・ヘンリー氏(左)国連事務総長ロードセーフティ特使 ジャン・トッド氏(中央)本田技研工業 安全企画部長 髙石秀明氏(右)

 

今回パートナーシップ締結にあたり本田技研工業の経営企画統括部・安全企画部長を務める髙石秀明氏は、「当社は、2050年に全世界で、自社の二輪車・四輪車が関与する交通事故死者ゼロを目指すという明確な安全目標を掲げており、世界の交通事故死者低減に向けて安全の取り組みを続けています。

 

当社は長年にわたり、安全技術の開発というハード面だけでなく、交通安全普及活動というソフト面にも取り組んできました。UNRSFとのパートナーシップにより、両者の知見やノウハウ、ネットワークを融合させ、各国への働きかけを強化することで、2030年に交通事故死者半減というマイルストーンの達成を目指します」と語った。

 

対して国連交通安全基金代表のネカ・ヘンリー氏は、「ホンダが自動車メーカーとして初めてUNRSFとその運営組織の取り組みに参加することを心から歓迎します。UNRSF史上最大級となるホンダによる交通安全に対する支援は、新興国において多くの命を救う影響力の大きい我々のプロジェクトにとって重要な資源となります。Hondaの率先した取り組みは、世界の交通安全問題に取り組む民間企業にとって重要な模範となるでしょう」と述べた。

 

UNRSFとのパートナーシップを通じた取り組みは以下の通り

 

1.各国の交通事故分析(交通事故の実態把握と、交通安全施策効果のモニタリング強化)
交通事故死者低減に向けた取り組みの実効性を高めるため、交通事故の実態把握と、交通安全施策の効果をモニタリングする仕組みの構築を目指す。新興国においては、交通事故分析に必要なデータが不足しており、交通事故の要因を分析することが困難な状況にある。この課題を解決するため、取得すべき事故形態データを明確化し、各国に取得を働きかけていく。また、ホンダが長年培ってきた事故分析のノウハウを生かして交通安全施策効果のモニタリングを強化し、施策の実効性を高めていく。

 

2.各国の交通安全政策支援(交通ルール制度化支援、インフラ改良提言、啓発活動強化など)
アジアを中心とした新興国に対して、Hondaの長年にわたる安全技術の開発や安全運転普及活動の経験を生かし、適切な制限速度・保護具装着(ヘルメット、シートベルト)・免許制度の法制化を働き掛けると共に、交通ルール違反の取り締まり強化支援、インフラの改良提言、啓発活動の強化などを行う。

 

3. 加えて同社は、UNRSFと連携して交通安全活動を行うために、2025年から2030年の5年間で総額300万USドルをUNRSFに寄付する。

 

参考情報
統合報告書「Honda Report 2024」
https://global.honda/jp/sustainability/integratedreport/

 

Honda ESG Data Book 2024
https://global.honda/jp/sustainability/report/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。