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UNRSF ハイレベル誓約フォーラムでスピーチする本田技研工業 安全企画部長 髙石秀明氏
本田技研工業は、グローバルで交通事故死者低減に貢献するべく自動車メーカーとして初めて国連交通安全基金(UNRSF/United Nations Road Safety Fund)とパートナーシップを締結。先の2月17日にモロッコのマラケシュで開催された「UNRSFハイレベル誓約フォーラム」で、同パートナーシップを通じた取り組みの方向性を発表したことを2月21日に明らかにした。
同社は、道を使う誰もが事故に遭わない社会の実現に向け、「Safety for Everyone」のグローバル安全スローガンのもと、ハード・ソフトの両面で安全への取り組みを行ってきた。その取り組みの最終目標は、2050年に全世界でHondaの二輪車・四輪車が関与する交通事故死者ゼロにある。そんな指針に沿い、2030年に全世界で自社二輪車、四輪車が関与する交通事故死者を半減させることをマイルストーンに設定している。
今回締結したパートナーシップでは、各国の交通事故分析と交通安全政策支援を2つの重点領域と定め、パートナーシップを通じて各国と取り組みを行うことで、交通事故死者低減に貢献していく。また交通事故死者の多くを占める、新興国での二輪車が関与する死亡事故を減らすことを目指し、アジアを中心とする新興国を重点地域に設定した。
国連交通安全基金 事務局長 ネカ・ヘンリー氏(左)国連事務総長ロードセーフティ特使 ジャン・トッド氏(中央)本田技研工業 安全企画部長 髙石秀明氏(右)
今回パートナーシップ締結にあたり本田技研工業の経営企画統括部・安全企画部長を務める髙石秀明氏は、「当社は、2050年に全世界で、自社の二輪車・四輪車が関与する交通事故死者ゼロを目指すという明確な安全目標を掲げており、世界の交通事故死者低減に向けて安全の取り組みを続けています。
当社は長年にわたり、安全技術の開発というハード面だけでなく、交通安全普及活動というソフト面にも取り組んできました。UNRSFとのパートナーシップにより、両者の知見やノウハウ、ネットワークを融合させ、各国への働きかけを強化することで、2030年に交通事故死者半減というマイルストーンの達成を目指します」と語った。
対して国連交通安全基金代表のネカ・ヘンリー氏は、「ホンダが自動車メーカーとして初めてUNRSFとその運営組織の取り組みに参加することを心から歓迎します。UNRSF史上最大級となるホンダによる交通安全に対する支援は、新興国において多くの命を救う影響力の大きい我々のプロジェクトにとって重要な資源となります。Hondaの率先した取り組みは、世界の交通安全問題に取り組む民間企業にとって重要な模範となるでしょう」と述べた。
UNRSFとのパートナーシップを通じた取り組みは以下の通り
1.各国の交通事故分析(交通事故の実態把握と、交通安全施策効果のモニタリング強化)
交通事故死者低減に向けた取り組みの実効性を高めるため、交通事故の実態把握と、交通安全施策の効果をモニタリングする仕組みの構築を目指す。新興国においては、交通事故分析に必要なデータが不足しており、交通事故の要因を分析することが困難な状況にある。この課題を解決するため、取得すべき事故形態データを明確化し、各国に取得を働きかけていく。また、ホンダが長年培ってきた事故分析のノウハウを生かして交通安全施策効果のモニタリングを強化し、施策の実効性を高めていく。
2.各国の交通安全政策支援(交通ルール制度化支援、インフラ改良提言、啓発活動強化など)
アジアを中心とした新興国に対して、Hondaの長年にわたる安全技術の開発や安全運転普及活動の経験を生かし、適切な制限速度・保護具装着(ヘルメット、シートベルト)・免許制度の法制化を働き掛けると共に、交通ルール違反の取り締まり強化支援、インフラの改良提言、啓発活動の強化などを行う。
3. 加えて同社は、UNRSFと連携して交通安全活動を行うために、2025年から2030年の5年間で総額300万USドルをUNRSFに寄付する。
参考情報
統合報告書「Honda Report 2024」
https://global.honda/jp/sustainability/integratedreport/
Honda ESG Data Book 2024
https://global.honda/jp/sustainability/report/