日立レール(Hitachi Rail)は9月5日(英ロンドン発)、100%電動車両〝HS2〟の設計、製造、運行に関して厳格な二酸化炭素削減基準(PAS 2080)を達成した世界初の鉄道メーカーとなった。このPAS 2080とは、インフラストラクチャの設計と製造に於ける主要な環境基準のひとつとして世界的に認められているもの。( 坂上 賢治 )
今回は、英国規格協会(BSI)が、設計・調達・製造・運用中の炭素管理と削減評価を含む日立レールが製造した車両HS2の生涯炭素分析の検証を行い、同規格を授与した。
列車のライフサイクル分析では、列車の乗客一人当たりの CO2 排出量は、車や飛行機で同じ移動をする場合よりも90%少ないとされる。このため英国の電力網が脱炭素化するにつれて、これらの排出削減量はさらに削減されることになる。
PAS 2080を達成する上で特に強みとなる要素は以下の通り
●車体や台車の空力改善、電源や空調システムの効率向上などにより、列車の走行時のエネルギー消費量を削減する。
●電車、車体、台車、車輪セット、内部および外部ケーブルの重量を軽減させる。
●ほとんどのコンポーネントで、リサイクル材料およびリサイクル可能な材料の割合を増やす。
同規格の授与を受けた日立鉄道グループのルカ・ダキーラCEOは、「HS2列車は、比類のない厳格な設計プロセスを経て、より空気力学、よりエネルギー効率が高く、より軽く、よりスリムで、より環境に優しい車両と認められました。
そもそも今回のPAS 2080への準拠については、HS2プロジェクトの一環のなかで授与されましたもので、それは平素よりの当社の社会環境への献身的なアプローチが認められたものとして大変光栄に思います。
当社並びに日立グループはCOP26で、2050年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成するという新たな目標を設定し、2030年までにすべての事業拠点でカーボンニュートラルを達成するという取り組みを強化しました。
これらを踏まえ我々は、自社が掲げる〝気候変動のイノベーターになる〟という目的に沿って、これまでの学びを未来の車両プロジェクトにも適用させ、世界各国の事業に於いても環境への貢献に精力的に取り組んでいきます」と話している。