東京帝国バンク(TDB)は6月14日、日野・三菱、統合2社のサプライチェーンの事業規模や売上高など、統合によってサプライチェーン企業の動向にどう影響するかを調査・発表した。
そこで帝国データバンクでは、保有する「商流圏~売上高依存度推計データ(※)」をもとに、日野自動車および三菱ふそうTBの各社に対し、部品などのモノ・サービスを提供する周辺産業(商流圏)の特徴や取引規模を2022年時点のデータを基準に推計。それによると6月13日時点で、日野・三菱、統合2社のサプライチェーンは延べ1万社。派生する売上高は1兆4,260億円。
まず日野自動車については、同社向け取引が売上の1%以上を占める「サプライチェーン企業」は、国内に5,525社。サプライチェーン企業にもたらす売上高(頂点企業である日野自動車に由来する売上依存額)合計は推計9,849億円になることが分かった。
これを階層別に見ると、一次取引先(Tier1)企業は682社あり、自社売上高への依存度の平均は12.4%、もたらす売上高は7,291億円と全体の74.0%を占める。一方で、社数が最も多いのは二次取引先(Tier2)で3,485社。平均依存度は4.3%と下がり、もたらす売上高は2,404億円とTier1の3分の1程度となっている。なお、三菱ふそうTBのサプライチェーンにも属する企業は1,251社となっていてる。
サプライチェーン企業の属性を分析すると、地域別では「関東」(2,273社、構成比43.9%)が最も多く、次いで「中部」(1,426社)、「近畿」(578社)となっている。売上規模別では、「1億~5億円未満」(1,965社、構成比38.3%)が最も多かった。
一方、三菱ふそうトラック・バス向け取引に関しては、自社売上の1%以上を占める「サプライチェーン企業」が国内に4,249社。サプライチェーン企業にもたらす売上高合計は推計4,411億円になることが分かった。
階層別に見ると、一次取引先(Tier1)企業は1,438社あり、自社売上高への依存度の平均は12.5%、もたらす売上高は3,514億円と全体の79.7%を占める。二次取引先(Tier2)は2,278社あり、平均依存度は4.2%で、もたらす売上高は842億円。日野自動車と比べTier1の社数が多くなっている。
サプライチェーン企業の属性を分析すると、地域別では「関東」(1,771社、構成比44.3%)が最も多く、次いで「中部」(617社)、「近畿」(413社)となっている。日野自動車と比べると、「北海道」「中国」「九州」といった地方圏にサプライチェーン企業が多い。
売上規模別では、日野自動車と同様に「1億~5億円未満」(1,735社、構成比44.2%)が最も多かった。
次いでサプライチェーン企業の業況・収益性では、直近の事業環境が確認できる3,396社を対象に分析。業況(売上)では、「大幅増加」傾向の企業の割合が日野自動車(構成比0.9%)、三菱ふそうTB(同0.4%)ともに1%を割り込み、国内全企業(同2.2%)と比べて低い。
また「減少」傾向の企業は、日野自動車のサプライチェーン企業で構成比7.1%となり、三菱ふそうTBや国内全企業と比較してもやや高い。
収益性(利益)では、両社ともに国内全企業と概ね傾向が同じだが、「悪いが改善可能」の割合が17.8%と若干高い。エンジン認証問題のあった日野自動車のサプライチェーン企業は業況、収益性ともに若干苦戦を強いられていることが分かる。
加えてサプライチェーン企業の後継者決定状況では、同じく3,396社を対象に分析。日野自動車、三菱ふそうTBともに後継者「あり」が「不在」を上回っており、国内全企業の後継者決定率42.8%を総じて10ポイント近く上回っている。それでも、約半数は後継者が決まっておらず、事業継続には一定の憂慮もあるとしている。