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2023年10月10日【事業資源】

ハッキアフリカ、新投資ラウンドで総額15.8億円を調達

坂上 賢治

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新興国で〝信用の歴史〟を創造し努力が報われる社会の実現を目指す

 

アフリカ(ケニア)でタクシードライバー向けの〝中古車マイクロ・ファイナンス(低所得層対象の小規模金融サービス)〟を展開するHAKKI AFRICA(ハッキアフリカ/本社:港区、代表取締役:小林 嶺司)は、これからの事業成長に伴う資金拡大策として、SBIホールディングスをリード投資家として、シリーズBの1stクローズに於ける15.8億円の資金調達(銀行融資含む)を実施した。

 

ちなみに当地に於ける同社事業は、ケニアの個人タクシー業を支えるファイナンス事業並びに、ライドシェアアプリ事業を組み合わせたもの。

 

そもそも通勤電車などが存在しないケニアの首都ナイロビに於いて、個人タクシーを営むドライバー達は、当地に於ける中間所得層の移動を支える大切な交通機関となっている。

 

実のところ、そんなケニアでは以前より、このような個人タクシー向け融資が存在してはいた。しかしそれらの多くは、与信基準が高いものがデファクトスタンダードであった。

 

それゆえ当地で、個人がタクシー業を始めたいと考えても、多くのドライバー達は銀行融資の与信基準に応えられない。結果、彼らは自らの裁量で営業車両を調達できず、現地の資本家からレンタカーを借りて働くことを余儀なくされる。

 

 

独自アルゴリズムのクレジット・スコアリングシステム構築が鍵

 

そこでHAKKI AFRICAは、個人タクシー業開始に望む当地のドライバーの実態に合わせた独自アルゴリズムのクレジット・スコアリングシステムを構築。機械的かつ客観的な与信審査を介して、リスクを抑えたファイナンス事業を行うことにした。

 

タクシードライバー達は、同社の〝ファイナンス+ライドシェアアプリ〟を利用することにより、かつてのレンタカー借りて営業した場合と同一のキャッシュフローを車両購入の返済に充て、3年半後に自らの車両を所有できる資産形成プログラムが実現する。

 

一方で同社は、Safaricom社のAPIを活用したモバイルマネー経由の自動返済・記帳システムを活かして人的ミスや内部不正の防止を解消させた。

 

結果、ケニア当地では競合他社が多額の資金調達ができず、日本の金融事業者・メガバンク・地方銀行との提携を深めたHAKKI AFRICAのみが、低金利・大規模な貸付を行うことを介して多くの雇用を生み出し、地域最安の金利維持を可能にした。

 

そんな同社は今回、新たなVC・CVC等を引受先とするSBIグループをリードインベスターとする第三者割当増資と融資、新株予約権付き社債、J-KISS型新株予約権、匿名組合出資等を組み合わせて計15.8億円の資金調達を実施。

 

このうち、10.0億円は商業銀行・ノンバンクからの融資で、日系スタートアップでは有史以来初となる日本の商業銀行からアフリカでの第三者への貸付を目的とする融資を受けることになった。

 

 

課題山積のアフリカは、それ故に最も大きな可能性を秘めている

 

今回の資金調達に応えたSBIインベストメントで投資部次長を務める山田昌平氏と投資部でアシスタントマネジャーを務める芦澤幸四郎氏は、「アフリカにはまだ多くの課題が存在します。それが故に世界で最も大きな可能性を秘めた市場です。

 

HAKKI AFRICAは金融アクセスの公平性を実現し、ケニアにとどまらずアフリカの金融アクセスとイノベーションを推進し、アフリカの経済発展と社会的発展を加速させる重要な役割を担っています。

 

アフリカの更なる発展に資するべく、Hakki Africaの事業を出来る限り支援させて頂きます」と語っている。

 

またQRインベストメントの浜野文雄社長は、「今後、アフリカの経済成長が見込まれる中にあっても、sub-Saharanアフリカ諸国には、未だその健全な発展のために解決すべき社会課題は山積しています。

 

我々は、HAKKI AFRICAがケニアにおける課題解決のために邁進している姿勢に共感し、その一端を担いたく投資を決めました。

 

アフリカ各国の貧困率や格差の改善、安全安心な暮らしの実現、環境保全といったSDGsの目線をもった同社とともに、ケニアの健全な発展に貢献できることを嬉しく思っております」と述べている。

 

一方でHAKKI AFRICA側では、「我々が目指すのは〝誠実な努力が報われる社会〟です。不正や汚職が蔓延り、どれだけ努力したかよりも誰とコネクションを持っているか、どれだけの現金や資産を今持っているかが物を言う社会構造の中で、テックを最大限に活用したクレジットスコアリングを通じて我々は〝誠実に信用を築くことこそが、豊かな人生への近道だ〟という世論の源流をつくります。

 

今まで努力するだけ無駄だった社会で、新興国に於ける〝信用〟を切り拓く新たな歴史を作り出し、人々の機会アクセスの最大化を実現します」と話している。

 

第三者割当増資シリーズBの1stクローズ参加投資家は下記の通り
・SBIインベストメント(SBIグループ)
・株式会社QRインベストメント(北國フィナンシャルホールディングス)
・DEEPCORE(ディープコア)
・HAKOBUNE(ハコブネ)

 

融資での参加銀行・ノンバンク・その他金融機関並びに匿名組合組成事業者は下記の通り(順不同)

■商業銀行融資:
・メガバンク
・北國銀行(北國フィナンシャルホールディングス)
■ノンバンク・デット:
・SBIグループ
・ファルス株式会社
・大和ブルーフィナンシャル株式会社(大和証券グループ)
■匿名組合出資:
ミュージックセキュリティーズ株式会社(匿名組合組成:特定非営利活動法人Living in Peace)

 

HAKKI AFRICAの概要は以下の通り
住所:東京都港区芝浦1-13-10 第3東運ビル8F
設立:2019年3月
創業者:小林嶺司/時田浩司
事業内容:信用スコアリング技術の構築・マイクロファイナンス等小規模金融機関への与信システム提供
在ケニア子会社を通じた、中古車担保のファイナンス事業

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。