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2024年12月11日【事業資源】

米GM、自動運転開発の技術リソースを一般市販車へ集中

坂上 賢治

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米ゼネラルモーターズ(GM)は12月10日(米国デトロイト発)、自律運転戦略を見直し、関連の技術リソースを一般市販車へ注力することを明らかにした。

 

目下GMは、傘下ブランドの20車種以上にハンズオフ・アイズオン(自動レベル2相当)の運転機能を持たせたスーパークルーズを搭載。同技術は、毎月1,000万マイル以上の距離走行距離を稼いでおり、今後もこの記録は着実に伸び続ける。従ってGMは今後、パーソナル向け車両の完全自律型運転を技術伸張させるべき領域として捉え、当面は先進運転支援システムに係る技術に照準を据えて磨いていく。

 

一方、GMが株式の過半を所有するCruise LLC(Cruise/クルーズ)の技術チームは、GM本体の自動運転技術チームと統合させて、自動運転並びに運転支援技術の発展に向け共に一致団結して注力させていくとした。

 

なおこうした自動運転並びに運転支援の技術領域は、事業拡大に相当の時間とリソースを必要とする。従ってGMグループ内の資本配分に配慮。これまでCruiseの技術チームが注力してきたロボタクシー市場は米国内での技術競争が激化していることから、今後Cruiseのロボタクシー事業への資本投下を差し控える。

 

また上記を前提に目下、Cruiseの株式の約90%を所有するGMは、他の株主と合意の上、現在の所有率を97%以上に引き上げるべく残り株式の買収施策を進めていく。

 

今後、上記株式の買い戻しの完了とCruiseの取締役会に於ける承認を条件に、GMはCruiseの経営陣と協力してCruise事業を再編。互いに目指すべき未来戦略の共有化を図っていく。ちなみに今回GMが提案した計画が最終的に完了した暁には、2025年上半期を契機に、年間10億ドル以上のグループ内支出が削減されると見込んでいる。

 

同方策についてGMの会長兼CEOのメアリー・バーラ氏は、「GMは常に資本効率の高い手段で、お客様に最高の運転体験を提供することに尽力してきました。そうした中で当社グループ傘下のCruise事業は、自動運転の黎明初期から常に最先端のイノベーターであり続けてきました。

 

しかしここで過去から歩んできた道を翻ると、我々GMグループは、強力なブランド力、事業規模、製造力を組み合わせることで、初めて輸送の未来に対するビジョンを前進させることができるのだと信じています。それゆえ新たな時代を見据えて、私達は自動運転に係る技術戦略を一致団結して推し進めていきたいと考えています」と述べた。

 

更にGMでソフトウェアおよびサービスエンジニアリングの担当上級副社長を務めるデイブ・リチャードソン氏は、「米国最大の自動車メーカーとして、当社は自動運転に全力で取り組んでおり、安全性の向上、交通の流れの改善、アクセシビリティの向上、ドライバーのストレス軽減など、そのメリットをGMの全てのお客様へ向けて提供していくことを目指します」と語った。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。