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米ゼネラルモーターズ(GM)は12月10日(米国デトロイト発)、自律運転戦略を見直し、関連の技術リソースを一般市販車へ注力することを明らかにした。
目下GMは、傘下ブランドの20車種以上にハンズオフ・アイズオン(自動レベル2相当)の運転機能を持たせたスーパークルーズを搭載。同技術は、毎月1,000万マイル以上の距離走行距離を稼いでおり、今後もこの記録は着実に伸び続ける。従ってGMは今後、パーソナル向け車両の完全自律型運転を技術伸張させるべき領域として捉え、当面は先進運転支援システムに係る技術に照準を据えて磨いていく。
一方、GMが株式の過半を所有するCruise LLC(Cruise/クルーズ)の技術チームは、GM本体の自動運転技術チームと統合させて、自動運転並びに運転支援技術の発展に向け共に一致団結して注力させていくとした。
なおこうした自動運転並びに運転支援の技術領域は、事業拡大に相当の時間とリソースを必要とする。従ってGMグループ内の資本配分に配慮。これまでCruiseの技術チームが注力してきたロボタクシー市場は米国内での技術競争が激化していることから、今後Cruiseのロボタクシー事業への資本投下を差し控える。
また上記を前提に目下、Cruiseの株式の約90%を所有するGMは、他の株主と合意の上、現在の所有率を97%以上に引き上げるべく残り株式の買収施策を進めていく。
今後、上記株式の買い戻しの完了とCruiseの取締役会に於ける承認を条件に、GMはCruiseの経営陣と協力してCruise事業を再編。互いに目指すべき未来戦略の共有化を図っていく。ちなみに今回GMが提案した計画が最終的に完了した暁には、2025年上半期を契機に、年間10億ドル以上のグループ内支出が削減されると見込んでいる。
同方策についてGMの会長兼CEOのメアリー・バーラ氏は、「GMは常に資本効率の高い手段で、お客様に最高の運転体験を提供することに尽力してきました。そうした中で当社グループ傘下のCruise事業は、自動運転の黎明初期から常に最先端のイノベーターであり続けてきました。
しかしここで過去から歩んできた道を翻ると、我々GMグループは、強力なブランド力、事業規模、製造力を組み合わせることで、初めて輸送の未来に対するビジョンを前進させることができるのだと信じています。それゆえ新たな時代を見据えて、私達は自動運転に係る技術戦略を一致団結して推し進めていきたいと考えています」と述べた。
更にGMでソフトウェアおよびサービスエンジニアリングの担当上級副社長を務めるデイブ・リチャードソン氏は、「米国最大の自動車メーカーとして、当社は自動運転に全力で取り組んでおり、安全性の向上、交通の流れの改善、アクセシビリティの向上、ドライバーのストレス軽減など、そのメリットをGMの全てのお客様へ向けて提供していくことを目指します」と語った。