カワサキモータース、スズキ、本田技研工業(ホンダ)、ヤマハ発動機の4社は5月11日、小型モビリティ向け水素エンジンの基礎研究を目的とした「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(HySE: Hydrogen Small mobility & Engine technology)」の設立に向け経済産業省の認可を得た。
これを踏まえ5月17日、脱炭素社会の実現に向けて水素小型エンジンの開発と普及に向けた研究活動を開始する。
但し現段階で水素エンジンは、水素独特の燃焼速度の速さに加え、着火領域の広さから燃焼が不安定になりやすいこと。また小型モビリティでの利用にあたっては燃料搭載スペースが狭いなどといった技術的な課題がある。
HySEでは、これらの課題解決に向けて、これまでガソリン燃料を用いたエンジンの開発で各社が培った知見や技術を基に、連携して小型モビリティ用水素エンジンの設計指針の確立も含めた基礎研究に取り組む。
結果、利用者にとって様々な選択肢を提案することで異なるニーズに応えると同時に、脱炭素社会に向けて貢献することを目指す。
写真左から順に、HySE理事候補の古谷昌志氏(本田技研工業)、HySE理事候補の田中強氏(スズキ)、HySE副理事長候補の松田義基氏(カワサキモータース)、HySE理事長候補の小松賢二氏(ヤマハ発動機)、ヤマハ発動機の日髙祥博代表取締役社長、カワサキモータースの伊藤浩代表取締役社長執行役員、スズキの鈴木俊宏社長、本田技研工業の塚本飛佳留執行職 二輪パワープロダクツ開発生産統括部長
こうした取組についてHySE理事長候補の小松賢二氏(ヤマハ発動機 執行役員 技術・研究本部長)は、「このような形で組合設立に向けた発表ができることを大変うれしく思います。
水素エンジンには色々な課題がありますが、この組合活動を通じて基礎研究を進め、先人たちが長きにわたって創り上げてきた内燃機関を、今後も存在し続けられるよう、使命感を持って活動に取り組んでいきたいと考えています」と語っている。
なお主な研究開発の内容および役割分担は以下の通り
1.水素エンジンの研究
水素エンジンのモデルベース開発の研究(Honda)
機能・性能・信頼性に関する要素研究(スズキ)
機能・性能・信頼性に関する実機研究(ヤマハ発動機、カワサキモータース)
2.水素充填システム検討
水素充填系統および水素タンクの小型モビリティ向け要求検討(ヤマハ発動機)
3.燃料供給系統システム検討
燃料供給システムおよびタンクに付随する機器、タンクからインジェクタ間に配置する機器の検討(カワサキモータース)
なおHySEには正組合員である二輪メーカー4社に加え、特別組合員として、川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)とトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)が参画する。
川崎重工は、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)の主幹事として有するノウハウをもってHySEの運営を推進。またトヨタは、四輪車用大型水素パワーユニットの実験や解析、設計などのノウハウをもって、HySEの研究成果の最大化を推進していく。
HySEの概要(予定)
【名称】水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合
(HySE: Hydrogen Small mobility & Engine technology)
【所在地】東京都中央区八重洲2丁目2番1号 八重洲セントラルタワー
【理事長候補】小松 賢二(ヤマハ発動機 執行役員)
【組合員候補】正組合員:カワサキモータース、スズキ、Honda、ヤマハ発動機
特別組合員:川崎重工、トヨタ
【設立時期】2023年6月予定