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エネオス( ENEOS )は5月27日、使用済み潤滑油を活用するための潤滑油基油再生技術確立を目指す実証で、低炭素基油( CO2排出量が抑えられた基油 )の製造に成功した。なお同技術実証に係る検討段階でトヨタ自動車からの協力を得たことで、市場から収集した使用済みエンジンオイルを原料として使用した。
低炭素基油を配合したガソリンエンジンオイルは、1992年設立の国際潤滑油標準化認証委員会( ILSAC / International Lubricant Standardization and Approval Committee )が定めたガソリンエンジンオイル規格「SP/GF-6」による高温酸化防止性試験法のSequence IIIH試験( 高温走行をシミュレートした運転パターンに供試した後のエンジンオイルの粘度増加等から高温酸化安定性を評価するもの )を実施。その結果、従来の原油由来の基油を配合したガソリンエンジンオイルと同等の高温酸化安定性を有することを確認できたという。
この技術検討は、令和4年度の環境省公募事業「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業( 令和4年度~令和5年度の事業 )」に採択された「廃潤滑油を活用した潤滑油基油への再生プロセス構築」の検証テーマで、既存の国内石油精製技術の活用の他、海外企業との技術提携の可能性も含めて取り組んだ。
エネオスでは、グループの長期ビジョンで「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立への挑戦を掲げ、「脱炭素・循環型社会への貢献」を目指しており、その一環として潤滑油事業で製品ライフサイクル上に於けるCO2排出量を抑えた商品の開発に取り組んできた。
今後は、使用済み潤滑油を原料とした低炭素基油の製造体制の早期実現を図るべく、実証実験のスケールアップ、製油所・事業所の既存設備の有効利用等の検討の他、当該事業活動に於けるステークホルダーとの積極的かつ丁寧な対話を進めていくと話している。