デンソーは5月20日、自社保有していたルネサスエレクトロニクス株の一部を売却する。同売却により、2025 年3月期個別決算に於いて特別利益(投資有価証券売却益)を計上する見込みとなった。
なお売却株式は、ルネサスエレクトロニクスの発行済み株式数の4.4%分に相当する7812万7800株。デンソーは2024年3月末時点でルネサス株の8.6%を保有していることから、当該の自社保有株の半分を超える(約2100億円/5月20日時点)相当分を売却することになる。
保有株式の一部廃却を決めた理由は以下の通り
- デンソーは、社会課題の解決と事業成長の両立に向けて、「収益体質の強化、低収益資産の圧縮、資本構成の改善、市場との対話」の4つ柱を据えて取り組んでおり、同財務戦略に基づき、保有の合理性が認められる場合を除き、保有しないことを基本的な方針としたこと。
- 2013年にルネサスエレクトロニクスに出資し、2018年に持分比率を引き上げて以降、車載半導体の安定調達を実現する事業上の取引関係を構築し、競争力のある車載システムに関する技術や製品の共同開発を積み重ねることで、一定の協業の成果を上げてきたこと。
- 但し、ルネサスエレクトロニクスとの事業上の協業関係の維持・強化は自社の企業価値の持続的な向上に不可欠であるため、保有株式の一部に留め、ルネサスエレクトロニクスとの事業上の協業関係の進展や、自社の半導体戦略や資本効率等を総合的に勘案して保有の合理性を継続して検討する。
保有株式一部売却の内容は以下の通り
- (1)対象株式 ルネサスエレクトロニクス株式会社普通株式
- (2)対象株数 78,127,800 株(自己株式を除く発行済株式の 4.4%)
- (3)受渡完了予定日 2024 年5月 23 日
- (4)投資有価証券売却益 約 1,755 億円(見込み)
※投資有価証券売却益は、現ルネサスエレクトロニクス株式の株価等から算出した見込額であるため変動する場合がある。
- (5)売却方法 BоfA証券株式会社をブックランナーとする主として海外市場(但し、米国に於いては 1933 年米国証券法に定義される適格機関投資家(qualified institutional buyers)に対する販売のみとする)及び日本国内にお於いて売却される予定。
- (6)ロックアップ 当社はBоfA証券株式会社に対し、本件売却に係る株式売買
契約締結日から当該締結日後270日を経過する日までの期間、同社の事前の書⾯による同意なしには、ルネサスエレクトロニクス普通株式の売却等(但し、本件売却を除く)を⾏わない旨を約束する予定。
最後にデンソーでは、当該売却に伴う上記投資有価証券売却益を、2025年3月期個別決算で特別利益として計上する見込みとしており、特別利益の金額が確定次第、公表する。加えて同社は国際財務報告基準(IFRS)を導入しており、連結決算時に株式売却に伴う売却益は、その他の包括利益として処理されるため連結業績への影響はないとしている。