ダイハツ工業は12月20日、製造する64車種・3エンジンの認証試験で174件の不正が発覚。同日より国内外で生産中の全ダイハツ開発車種を一旦出荷停止とすると発表した。
同社は世界的自動車メーカー・トヨタ自動車の子会社でもあり、同社やスバルにOEM供給していた車種についても不正が発覚。出荷停止は広範に亘り、ダイハツとの取引を通じてものづくりを支える国内のサプライチェーン企業に与える影響が懸念される。
そこで帝国データバンクでは12月21日、保有する「商流圏~売上高依存度推計データ」をもとに、ダイハツ工業に対し、部品などのモノやサービスを提供する周辺産業(商流圏)の特徴や取引規模を、2023年時点のデータを基準に推計した。
※調査対象:2023年時点のデータを保有する「商流圏~売上高依存度推計データ」をもとに、ダイハツ工業に対し、部品などのモノやサービスを提供する周辺産業(商流圏)の企業。※調査機関:株式会社帝国データバンク
調査結果(要旨)
1)ダイハツ工業を頂点とするサプライチェーン企業(売上高の1%以上を依存している企業)は、国内に推計8,136社あることが判明。同社と直接取引のあるTier1は921社、二次下請けであるTier2が4,945社、Tier3が2,114社と続く。
2)サプライチェーン企業は47都道府県すべてに分布し、これらの企業に派生する売上高合計は推計2兆2,110億円にも上る。各企業の売上高依存度は、平均4.2%。出荷停止措置が長引けば、これらの企業業績や雇用、地域経済への影響が懸念される。
都道府県別の分析 ~愛知、大阪に多く、工場のある滋賀、大分も影響大
サプライチェーン企業の所在地を都道府県別に見ると、トヨタグループのお膝元で、多くの自動車関連産業が集積する「愛知県」が最も多く、2,084社。派生する売上高は推計5,674億円に上る。次いで、本社(池田)工場のある「大阪府」が1,043社・2,607億円、「東京都」562社・2,006億円となった。
また、社数は多くないものの滋賀(竜王)工場のある「滋賀県」や、子会社であるダイハツ九州が拠点を置く「大分県」では、県内企業に派生する売上高が大きく、「滋賀県」187社・903億円、「大分県」89社・4,800億円となっている。
業種別の分析 ~自動車部品製造など、製造業が上位
業種細分類別に見ると、サプライチェーンで最も多いのは「自動車部分品・付属品製造業」で630社、次いで「金型・同部分品・付属品製造業」の468社など製造業が上位を占める。
ただ、部品等を搬送する「一般貨物自動車運送」(408社)や「労働者派遣業」(187社)、車両の電子化が進む中で「受託ソフトウェア開発」(147社)なども多く、国内有数の産業でもある自動車産業だけあって、業種の裾野は広い。