リチウムイオン電池用バッテリーパウチ(電動車用)のサンプル
大日本印刷(DNP/本社:東京都新宿区、代表取締役社長:北島義斉)は11月29日、リチウムイオン電池外装材のバッテリーパウチを生産する工場用にアメリカ合衆国ノースカロライナ州に建設用地を取得したと発表した。
同社が、米国に於いてバッテリーパウチ工場用地を取得した背景は、地球温暖化の防止に向けた世界的な潮流のなか、各国・地域でカーボンニュートラルやグリーンリカバリー等の政策が打ち出され、世界規模で積極的な電気自動車(EV)の開発・導入が進められていることがある。
特に米国では、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めるため、2022年8月に「インフレ抑制法(歳出・歳入法)(IRA:Inflation Reduction Act)」が成立。
これを契機に、EVの導入補助を後押しに市場が拡大しており、車載用リチウムイオン電池の米国内でのサプライチェーン構築に向けて、電池や部材等のメーカーによる米国への積極投資が行われている。
一方でDNPは、長年培った印刷技術の一つであるコンバーティング技術(材料加工技術)を活かし、リチウムイオン電池の外装材であるバッテリーパウチを開発し、1990年代後半に実用化に成功している。現在、国内外の電池メーカーに提供しており、高い品質と長年の実績が評価されて世界トップのシェアを獲得した。
そうした経緯で日本国内でDNPは、福岡県・戸畑工場と埼玉県・鶴瀬工場内にバッテリーパウチの生産工場を展開。海外でもグループ会社のDNPデンマークで、バッテリーパウチのジャンボロールのスリット加工を行う工場を新設するなど、適地生産・供給体制を構築してきた。
そんな状況を背景として今回、更なる伸長が見込まれる米国市場の需要に対応し、新たなバッテリーパウチ工場の開設に向けた土地取得を実施した。
取得した工場用地は以下の通り
所在地:アメリカ合衆国ノースカロライナ州デビッドソン郡リンウッド市
事業内容:車載向けリチウムイオン電池のバッテリーパウチの製造
今回、米国に於ける用地買収を果たしたDNPは、2026年度に米国内で当該製品の本格生産を視野に据えている。なお工場用地取得とスリット加工ラインの導入には100億円規模の投資も計画中。同社では、その後、市況や需要に応じて、同一敷地内でのジャンボロール製造も視野に入れて検討していく構えという。
DNPでは、「2025年度までにリチウムイオン電池用バッテリーパウチで年間約1,000億円の売上を目指します。今後も、同製品のほか、各種環境配慮製品の開発・製造をさらに進めて、脱炭素社会の実現に貢献していきます」と話している。