AI・IoTで製造業のDXを推進するコズム(東京都品川区)は12月25日、自動車関連製品を主に製造する三桜工業(茨城県古河市)の自動車エンジンのパイプ外観検査における傷検知のPoC(ポック/概念実証=試作開発に入る前段階の検証プロセス)を実施した。
PoCの結果、従来の人による目視検査に代わり、AIを活用した傷の検知精度が大幅に向上し、高精度で傷を検出することができたという。
外観検査にPoCを導入した理由は、自動車エンジン部品の外観検査で、従来は熟練の作業員による目視に依存していたことがある。この方法は、作業員の経験や技術に大きく左右され検査基準にばらつきが生じやすいという課題がある。また製造ラインのスピードが上がる中で、より迅速かつ高精度な検査が求められ、自動化のニーズが高まっていることも大きな要因のひとつだ。
三桜工業は、この課題を解決するためAI技術を活用した外観検査システムの導入を検討。これにコズムは、外観検査プロセスの標準化と精度の向上を目指しPoCを実施した。今回のPoCでは、エンジンパイプの外観検査にAIを導入。エリアスキャンカメラに対して、円柱状の物体に対して照明環境の影響を受けにくく、より精密な検査が可能なラインスキャンカメラを導入して最適な検査方法を確立した。
特に注力した点は、AIによる傷の検出アルゴリズムに於いて従来の「良品のみを学習させたモデル」に加え、「不良品の傷を学習させたモデル」も統合した「ハイブリッドモデル」を採用したことにある。
というのは旧来の検査アルゴリズムでは、特定の傷の検知に限界があったためで今回のPoCでは、AIに良品と不良品の両方を学習させることで傷のパターン認識を向上させている。このハイブリッドモデルによって、傷の大きさや位置に関わらず、広範囲の傷検知が可能となり、従来の人間による検査プロセスのばらつきをAIで補完できたという。
今後は、今PoCで得られた成果を基に、AIモデルの精度向上させると共に実際の製造ラインに於ける生産性を損なわないスピードで検査が行えるシステムの実現を目指す。その方法論としては、現場のニーズに即した柔軟なカスタマイズを行い、AIモデルと検査機構の最適な組み合わせを追求していくという。
三桜工業株式会社
本社:茨城県古河市鴻巣758
代表者:竹田玄哉
設立日:1939年03月
資本金:34億8,110万円
会社HP:https://www.sanoh.com/
株式会社コズム
本社:東京都品川区西五反田2-28-10 FP五反田ビル4F
代表者:代表取締役 社長 橋本優希
設立日:2022年11月
資本金:8,200万円
会社HP :https://cosmcorp.jp
問い合わせ:https://cosmcorp.jp/contact