武蔵精密工業 (以下、ムサシ)とDelta Electronics (以下、デルタ)ならびに豊田通商は9月21日、インドで二輪車用EV駆動ユニットを製造・販売する合弁会社を新設することで合意したと発表した。合弁会社では、EV駆動ユニットの量産や幅広い顧客への受注活動を、インド市場で行っていくと云う。
1.合弁会社設立の背景と目的
世界各国が2050年までのカーボンニュートラルの実現を相次いで表明するなか、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量削減は必須の課題に。特に二輪車が人々の生活の足として欠かせない新興国では、その排気ガスによる環境問題やCO2排出による温暖化が深刻な問題となっており、クリーンかつ快適な移動手段である新たなEモビリティの普及への期待が高まっていると云う。
この内、世界最大の二輪車市場であるインド市場では、政府が2030年までに二輪車の80%をEV化するという目標を掲げ、その主導の下、四輪車に先行して二輪車のEV化が加速しており、現地生産ニーズも高まっていると云う。
このような背景から、新合弁会社では、ムサシとデルタが共同開発したEV駆動ユニットを製造・販売。さらに、市場ニーズに対応したEV駆動ユニットのラインナップを拡充し、更なる製造・販売に取り組みんでいくことで、世界トップシェアのユニットメーカーを目指す。
また、EV駆動ユニットの供給を通じて、インド市場をはじめ、全世界での二輪EVの普及をリードする共に、カーボンニュートラルの実現にも貢献していく。
二輪車用EV駆動ユニット。
2.合弁会社の特長
EV駆動ユニットは、主にギヤボックスとモーターによって構成されるが、新合弁会社では、EVに求められる小型・軽量・静粛性を兼ね備えた高性能の駆動ユニットを、一体のシステムとして開発・製造・販売する。
これにより、品質保証を含めた高い付加価値を提供、さらに、市場や技術の変化を先取りした迅速かつ柔軟な研究開発や、ムサシ、デルタ、豊田通商それぞれの事業基盤を活用した効率的な調達・販売を可能とする。
<合弁会社の概要>
– 名称:Musashi Delta e-Axle India Private Limited
– 所在地:
Doddaballapura 3rd Phase Industrial Area, Village-Raghunathpura, Hobli-Kasaba,Taluk-Doddaballapura, District-Bangalore Rural Karnataka 561203. India(Musashi Auto Parts India Pvt. Ltd. 敷地内)
– 代表者の役職・氏名:CEO 瀬戸川 健二
– 出資比率:
Musashi Auto Parts India Pvt. Ltd. 51%、Delta Electronics, Inc. 34%、豊田通商株式会社 15%
3.今後について
インド市場に於いては、ムサシの出資・協業先であるEVスタートアップ企業のBNC(インド・タミル・ナードゥ州コインバトール)との間で、EV駆動ユニットを搭載した二輪EVを来年2月から販売することで合意していることから、今後、合弁会社では、同市場に於ける二輪車のボリュームゾーンである125ccクラスをメインターゲットに、幅広い顧客に向けたEV駆動ユニットの供給を目指す。