NEXT MOBILITY

MENU

2024年8月7日【事業資源】

コンチネンタル、オートモーティブ部門を分社化へ

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コンチネンタル・ロゴ

 

独コンチネンタル( Continental AG )の取締役会は8月6日、戦略的な見直しを経て、オートモーティブ・グループセクターのスピンオフに関する詳細評価を行うことを決定した。

 

その目的は、持続可能なコンチネンタルの価値と成長の可能性を充分に活かすことにある。より具体的には、取締役会による詳細な部門評価を経た後、2024年第4四半期にスピンオフに関する決定が行われる。

 

このオートモーティブ部門のスピンオフに伴う上場は、2025年4月25日のコンチネンタルAGの年次株主総会で決議にかけられ、承認されれば、2025年末までにスピンオフを完了させるべく準備を進める。なお収益性の高いタイヤセクターとコンチテックセクターは、コンチネンタルの傘下に残る。

 

 

また2023年12月に発表した車両ディスプレーソリューションを担当するユーザーエクスペリエンスに関わる事業領域はオートモーティブセクターの一部として残り、製品セグメントを担当していたパヴェル・プラウザ氏(Pavel Prouza)が、ユーザーエクスペリエンス責任者に就任。

 

これに併せて前任のユーザーエクスペリエンス責任者であったボリス・マーゲル氏(Boris Mergell)は今後、走行安全とダイナミクスソリューションを担当するセーフティー・アンド・モーション事業責任者に就任する。

 

Nikolai Setzer, Continental CEO

 

こうした決定についてコンチネンタルでCEOを務めるニコライ・ゼッツアー氏(Nikolai Setzer)は、「私たちの戦略は、価値創造の増大です。これには、グループセクターを成功に導くための最適なポジショニングを体系的に分析することが含まれます。

 

市場と顧客、特に自動車業界は、この数か月で非常にダイナミックに発展しています。今後、市場における急激な地域的発展や、ソフトウェア主導の技術変革には、さらなる柔軟性と起業家精神が求められるでしょう。このような背景から、コンチネンタルを独立した2社に分割することを目指します」と述べた。

 

Prof. Dr.-Ing. Wolfgang Reitzle, Chairman of the Supervisory Board

 

更にコンチネンタルで監査役会会長を務めるヴォルフガング・ライツル氏(Prof. Wolfgang Reitzle) は、「オートモーティブセクターのスピンオフは、競合機会を創出し、アジリティを高め、そして、より透明性を高める可能性を有しています。

 

強力で独立した企業として、オートモーティブセクターは、価値創造に向け潜在能力を最大限に活用することができるでしょう。

 

加えて、投資家の方々は自動車エレクトロニクスに注力する企業に投資することが可能になります。詳細評価にあたっては、全従業員の利益についても念頭に置かなくてはなりません。なぜなら、彼らもまたを独立した2社を保有することから恩恵を受けることになるからです」と付け加えた。

 

 

ちなみにオートモーティブセクターは、ブレーキシステム、コンフォートシステム、センサーソリューション、ディスプレー分野で確固たる地位を築いてきた他、高度な技術を背景に垂直統合に係る専門知識を有している。

 

併せて昨今、急速に成長するソフトウェア・デファインド・ビークルや自律運転市場向けのソフトウェア、アーキテクチャプラットフォーム、アシスタンスシステムの開発で大きく前進してきた。

 

 

そんな事業部門は2022年以降、段階を踏んで実務活動を単一法人化していきたが、今計画中のスピンオフが実施されれば完全な独立企業となる。そんなオートモーティブセクターの前年の売上高は約203億ユーロで、現在約10万人の従業員を雇用している。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。