独コンチネンタル( Continental AG )の取締役会は8月6日、戦略的な見直しを経て、オートモーティブ・グループセクターのスピンオフに関する詳細評価を行うことを決定した。
その目的は、持続可能なコンチネンタルの価値と成長の可能性を充分に活かすことにある。より具体的には、取締役会による詳細な部門評価を経た後、2024年第4四半期にスピンオフに関する決定が行われる。
このオートモーティブ部門のスピンオフに伴う上場は、2025年4月25日のコンチネンタルAGの年次株主総会で決議にかけられ、承認されれば、2025年末までにスピンオフを完了させるべく準備を進める。なお収益性の高いタイヤセクターとコンチテックセクターは、コンチネンタルの傘下に残る。
また2023年12月に発表した車両ディスプレーソリューションを担当するユーザーエクスペリエンスに関わる事業領域はオートモーティブセクターの一部として残り、製品セグメントを担当していたパヴェル・プラウザ氏(Pavel Prouza)が、ユーザーエクスペリエンス責任者に就任。
これに併せて前任のユーザーエクスペリエンス責任者であったボリス・マーゲル氏(Boris Mergell)は今後、走行安全とダイナミクスソリューションを担当するセーフティー・アンド・モーション事業責任者に就任する。
Nikolai Setzer, Continental CEO
こうした決定についてコンチネンタルでCEOを務めるニコライ・ゼッツアー氏(Nikolai Setzer)は、「私たちの戦略は、価値創造の増大です。これには、グループセクターを成功に導くための最適なポジショニングを体系的に分析することが含まれます。
市場と顧客、特に自動車業界は、この数か月で非常にダイナミックに発展しています。今後、市場における急激な地域的発展や、ソフトウェア主導の技術変革には、さらなる柔軟性と起業家精神が求められるでしょう。このような背景から、コンチネンタルを独立した2社に分割することを目指します」と述べた。
Prof. Dr.-Ing. Wolfgang Reitzle, Chairman of the Supervisory Board
更にコンチネンタルで監査役会会長を務めるヴォルフガング・ライツル氏(Prof. Wolfgang Reitzle) は、「オートモーティブセクターのスピンオフは、競合機会を創出し、アジリティを高め、そして、より透明性を高める可能性を有しています。
強力で独立した企業として、オートモーティブセクターは、価値創造に向け潜在能力を最大限に活用することができるでしょう。
加えて、投資家の方々は自動車エレクトロニクスに注力する企業に投資することが可能になります。詳細評価にあたっては、全従業員の利益についても念頭に置かなくてはなりません。なぜなら、彼らもまたを独立した2社を保有することから恩恵を受けることになるからです」と付け加えた。
ちなみにオートモーティブセクターは、ブレーキシステム、コンフォートシステム、センサーソリューション、ディスプレー分野で確固たる地位を築いてきた他、高度な技術を背景に垂直統合に係る専門知識を有している。
併せて昨今、急速に成長するソフトウェア・デファインド・ビークルや自律運転市場向けのソフトウェア、アーキテクチャプラットフォーム、アシスタンスシステムの開発で大きく前進してきた。
そんな事業部門は2022年以降、段階を踏んで実務活動を単一法人化していきたが、今計画中のスピンオフが実施されれば完全な独立企業となる。そんなオートモーティブセクターの前年の売上高は約203億ユーロで、現在約10万人の従業員を雇用している。