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2022年5月31日【事業資源】

パナソニック、ライカと包括提携して高級デジカメの拡充を狙う

山田清志

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パナソニックホールディングスの傘下事業会社であるパナソニックエンターテインメント&コミュニケーション(PEAC)は5月31日、独ライカカメラ社と包括的な業務提携を行うことで合意した。これまでの技術協業の枠組みを進化させ、共同投資、共同開発、共同マーケティングの分野まで発展させる。スマートフォンの高機能化でデジタルカメラ市場が縮小するなか、パナソニックはブランド力の高いライカと包括提携することで、マニアの間で人気のある高級デジカメの拡充を図ろうというわけだ。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

両社は2000年からレンズで協業を開始

 

「写真や映像がリアルタイムでグローバルに共有される時代の到来により、カメラはより印象的で高い表現力が求められるようになった。この新時代において、ライカとLUMIX(ルミックス)は感動を奮い立たせるような表現力を生み出し、その感動を世界中の人々と共有し、人々に新たな価値を提供するために、アライアンスを組んだ。『L2 Technology(エルスクエア・テクノロジー)』はそのシンボルだ」とPEACの山根洋介副社長は今回のライカとの包括提携について説明する。

 

パナソニックエンターテインメント&コミュニケーションの山根洋介副社長

 

「L2」とは、「LEICA」と「LUMIX」の2つのLを表しており、両社の協業によって生まれる新たな技術やソリューションに「L2 Technology」と冠し、今後、両社のマーケティング活動などで展開していくそうだ。

 

ライカカメラ社については、詳しく説明するまでもないが、カメラファンの間では有名な企業で、カメラ製品のほか、スポーツオプティクス製品をグローバルに展開するプレミアム企業だ。本社をドイツ・ヘッセン州のウェッツラーに置き、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンに第2工場を持つ。

 

卓越した品質の製品を作り続けた伝統と、ドイツのクラフトマンシップや革新的な技術を結びついた工業デザインにより、ライカブランドは伝説と呼ばれるほどの高い評価を確立している。また、写真界の発展に寄与する活動として、世界各地に展開するライカギャラリーやライカアカデミーに加えて、世界で最も権威のある国際写真コンテストの一つである「ライカ・オスカー・バルナックアワード」を主催するなど、さまざまな文化活動も行っている。

 

そんなライカと2000年8月、パナソニックはデジタル・AV機器のレンズに関する業務提携を行って協業を開始。翌2001年には、デジタルカメラ分野に業務提携を拡大した。その後、2018年にライカ、パナソニック、シグマの3社による「Lマウントアライアンス」を結成し、ライカのレンズ規格に対応するカメラを展開してきた。そして、今回、さらに提携範囲を拡大しようとなったわけだ。

 

共同開発した新技術を両社のカメラに

 

「私たちは長年、ビジネスパートナーとして信頼し合い、協業を進めてきた。両社の強みを掛け合わせ、L2 Technology を生み出していくことは、われわれの協業の第一歩。現在のカメラ市場の課題に対応していくためには、ここの枠組みに籠もることなく、将来のためのソリューションを共同でつくり上げていく能力を深めていくことが重要だと思う」とライカカメラ社のマティアス・ハーシュCEOは話し、「両社で創造性に富むイメージングの新時代をつくり上げていく」と強調した。

 

ライカカメラのマティアス・ハーシュCEO

 

両社はカメラやレンズ製品に組み込まれる新たな技術への投資を共同で行い、共同で開発したプラットフォームやキーテクノロジーをお互いのカメラ製品に取り入れるなどシナジーを発揮し、さらなる商品力の強化を図る。さらに、ライカとルミックスは、クリエイティブなカメラユーザーに向け、新たな可能性を切り開くL2 Technologyを両社のマーケティング活動にも展開していく。

 

「今回の広範囲な提携は間違いなくイメージング事業の発展につながる大きな転機であり、パナソニックホールディングスにとっても非常に楽しみなことだ。私個人としてもL2 Technologyが搭載された新しいルミックスを使い始める日が待ち遠しい」とパナソニックホールディングスの楠見雄規CEO。

 

現在、パナソニックのデジカメの世界シェアは数%で、ランキングに名前も出ずにその他として扱われている。なにしろ上位3社、キヤノン、ニコン、ソニーで約90%のシェアを占めているのだ。その中にパナソニックが食い込んでいくというのはいくらなんでも難しいだろう。パナソニックとしては、今回の包括提携によって、高級デジカメを拡充し、まずはルミックスのブランド力を高めていこうというわけだ

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。