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2024年5月14日【事業資源】

日産とグルーヴノーツの共著論文、人工知能学会で採択

坂上 賢治

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量子コンピュータやAIクラウドプラットフォームを開発・提供するグルーヴノーツは日産自動車と自動車の組立工程に於ける作業編成立案の自動化に取り組んでおり今回、量子アニーリング技術を用いた組立作業の割当て最適化手法に係る共著論文が「2024年度 人工知能学会全国大会」で採択されたという。5月29日の全国大会で論文発表が行われる見込み。

 

今日、自動車工場の一般的な組立ラインでは、ベルトコンベア上の車体に対して、それぞれの持ち場を担当する組立作業員により、部品の組み付けなどの各種作業が行われている。

 

組立作業員に作業を割り当てる作業編成作業では、作業内容の車種ごとの違いや各作業場所にある設備との兼ね合い、作業の順序関係、所要時間(タクトタイム)、複数の作業場所を担当する組立作業員の移動など、様々な制約を考慮しなければならず、熟練したスキルや経験が要求される。

 

更に生産量など変動に対しても無理なく安全に作業が行われ、なおかつ生産性向上を阻害しないためには、作業配分の偏りをなくし平準化された編成の立案が肝要となる。

 

一つのラインあたり150もある作業を20名程度の組立作業員に割り当てるとしても、こうした多様な要件を織り込んで作業編成表を作成するには、多大な時間と労力が必要とされ、またその技術継承が予てより課題として挙げられていた。

 

そこで日産は、組立作業編成のデジタル化に向けて、組合せ最適化問題の解法を得意とする量子アニーリング技術を取り入れながらグルーヴノーツの「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」によるシステム構築の取り組みを開始した。

 

当該の論文テーマなどは以下の通り

 

【テーマ】
「量子アニーリングを活用した順序制約を含む大規模な自動車組立作業割り当て最適化手法の開発」

 

【執筆者】
日産自動車株式会社 守屋岳志氏、岡田欣也氏、斎田勝枝氏、古市浩貴氏
日産自動車九州株式会社 高橋裕司氏
株式会社グルーヴノーツ 吉村敏志

 

【概要】
組立ラインのうち部品を組み付けるトリム工程を対象に、量子アニーリング技術等を用いて、工程上の基本制約に基づき組立作業員に各作業を割り当てる最適化計算の検証をおこなった。計算結果は、各制約との整合性を欠くことなく、実際の方法で組立作業編成を決定するより、組立作業員ごとの作業量が平準化されていることなどから、その有効性を確認した。

 

【2024年度 人工知能学会全国大会(第38回)】
・日程:2024年5月28日(火)~31日(金)
・会場:アクトシティ浜松(静岡県浜松市)+ オンライン
・主催:一般社団法人 人工知能学会
・URL:https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2024/

 

【今後の展望】
研究成果からは、現場の業務上の課題や改善点など多くの洞察も得られた。日産とグルーヴノーツは現在、効果的な現場運用に向けて、対応する制約の追加や業務改善につながる機能の追加などをはじめ、作業編成システムの継続的な改善を進めている。

 

今回の割当て最適化手法は実用的な拡大性があり、多くの組合せ最適化問題のある自動車生産準備などでの活用が期待される。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。