協業基本合意書 調印式の様子。トヨタ 水素ファクトリー チーフプロジェクトリーダー 濱村 芳彦(左)、千代田化工 常務執行役員 松岡 憲正
燃料電池とプラント建造技術の融合で、国内外の水素製造市場に対応
千代田化工建設とトヨタ自動車は2月5日、大規模水電解システムの共同開発および戦略的パートナーシップを構築していくことで合意し、協業基本合意書を締結した。
両社は、政府が策定した水素基本戦略における、国内外を対象とした「水電解装置導入の政府目標の達成」に貢献していく構えだ。ちなみに水電解装置導入量の政府目標は、2030年の世界導入量予測134GW(出展 : IEA、Global Hydrogen Review 2022)において、日本関連企業(部材メーカーを含む)のシェアを約1割(15GW程度)と設定したもの。
水電解装置(高集積化されたトヨタ製水電解スタック群)
大規模水電解システム(千代田化工によるスマート・スケーラブルエンジニアリング)
なお水素の使用量や設置面積の制約などに関しては、利用顧客の様々なニーズに対応できるよう、5MW級を原単位(設置面積 : 2.5m×6m、水素製造能力 : 約100kg/時間)として開発し、それらを組み合わせて標準パッケージとすることで、大規模な水電解システムを構築する。
また同装置は、一般的な設備に比べて約半分の設置面積におさまり、メンテナンス性も確保しながら、輸送性や現地工事期間の短縮、土木・建築工事のコストダウン効果などのメリットがある。
より具体的には、世界最小レベルのサイズでありながら、水素の製造効率が高い水電解システムの開発を目指すという。
この取り組みにあたって千代田化工建設とトヨタ自動車は、「トヨタが持つ燃料電池技術を用いた水電解セル・スタックの生産や量産技術と、千代田化工が持つプロセスプラント設計技術や大規模プラントの建造技術を融合し、競争力のある大規模水電解システムを開発することで、急激に拡大する国内外の水素製造市場に対応してまいります」と話している。
今後は、今協業基本合意書の締結を踏まえ、2025年度からトヨタ本社工場の水素パーク内に水電解システムの導入を始める。将来的には10MW級まで拡大し、実証や開発に活用していく予定です。進捗等については順次公開していく。両社は、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されるH2&FC EXPO(主催 : RX Japan株式会社、開催期間 : 2024年2月28日~3月1日)に出展する。