BYD Auto Japan設立、2025年までに100カ所以上のディーラー網構築へ
中国BYDの日本法人ビーワイディージャパン(BYDジャパン、劉学亮社長、本社・横浜市)は7月21日、東京都内で記者会見を開き、日本の乗用車市場へ参入すると発表した。2023年1月から最新の電気自動車(EV)を順次、発売する。(佃モビリティ総研・松下次男)
EV投入に当たり、BYDジャパンは乗用車の販売とアフターサービスを提供する100%子会社のBYD Auto Japanを7月4日付で設立。同社社長に東福寺厚樹BYDジャパン執行役員が就任した。
東福寺社長は日本でのEV販売について「リアルの店舗で発売する」とし、具体的な店舗として2025年までに全国47都道府県に100カ所以上のディーラー網を構築するとした。
日本ではまずミドルサイズSUV「ATTO 3」を1月から販売するのを皮切りに、2023年半ばにイルカをイメージしたコンパクトカーの[DOLPHIN]、2023年下半期にセダンの「SEAL」を発売する。
1995年にバッテリーメーカーとして創業したBYDは、2003年に自動車事業に参入。2009年にはピュアEVの量産を開始し、その後の中国の省エネ・新エネルギー車(NEV)政策と相まって急成長する。
記者会見にビデオメッセージを寄せた創業者の王伝福氏は「EV化の波はもはや戻せない」と強調し、BYDは今や世界の70か国・地域、400超の都市にEVを提供すると述べた。
そのNEVの販売台数も2021年には前年比220%増の約60万4000台を達成。さらに2022年の上半期(1~6月)は前年同期比3倍超の約64万台を販売した。
王氏は日本のEV乗用車市場参入に当たり「クリーンかつ、グリーンな社会の実現に、寄与したい」とメッセージを寄せた。
今やEVを買う、買わないの二択ではなく、これからは「EVをいつ買うか」の時代だ
そのBYDの日本法人は2005年に設立。そして2015年に中国の自動車メーカーとして初めて日本にEVバス5台を導入。劉社長は今や日本でBYD製のEVバスが6月時点で「65台走っており、そのシェアは70%以上に達する」と述べた。
また、BYDは金型メーカー、オギハラの館林工場を2010年に買収しており、日本流の製造ノウハウも吸収する。
こうした実績を引き下げて、今回、新たにEV乗用車で日本市場に参入することになったものだ。
劉社長は日本でのEV販売について「EVを買う、買わないのではなく、これからはEVをいつ買うかの時代だ」と強調。
現状、EVに対しては「車両価格の高さ」「充電設備の不足」「航続距離への不安」「ラインナップの少なさ」というネガティブなユーザー意識が調査結果からわかったが、劉社長はBYDのEVはこれらを払拭できるとの見方を示した。
具体的には、今年2月に中国で発売開始した「ATTO 3」は航続距離が485キロメートル(WLTC値)に達するとし、価格も「手に届きやすい価格で展開する」と表明した。正式な車両価格は販売直前の11月に公表する予定。
また、2021年に中国で販売開始した「DOLPHIN」、2022年5月に中国で発表した「SEAL」に続く車種についても、順次、開発状況に合わせて、追加、販売する計画だとした。
さらに販売開始に先立って、乗用車を一定期間無償で貸し出し、EVライフを体感できる「eモビリティパートナープログラム」などの活動も実施する。