使用済タイヤの精密熱分解パイロット実証プラントの外観イメージ
ブリヂストンは1月30日、タイヤ水平リサイクルの社会実装に取り組む。具体的には、関工場(岐阜県関市)敷地内に使用済タイヤの「精密熱分解パイロット実証プラント」の建設を決定した。
稼働開始は2027年中を想定している。この水平リサイクルの工程は、使用済タイヤを精密熱分解して分解油や再生カーボンブラックを回収するというもの。
こうしたタイヤの再生原材料を活かしていくケミカルリサイクル技術の社会実装を目指し、今回、建設するパイロット実証プラントでは水平リサイクルの工程(精密熱分解プロセス)の確立と最適化を視野に実証が行われる。
ちなみにこのパイロット実証プラント建設は、2022年2月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO₂等を用いたプラスチック原料製造技術開発」に採択された実証事業「使用済タイヤからの化学品製造技術の開発」の研究開発テーマ(ENEOSとの共同プロジェクト)の一環。
再生材のカーボンブラックは、東海カーボンによる実証事業「使用済みタイヤを含む高分子製品からのカーボン再利用技術の開発」で、新品並みのゴム補強性を持つカーボンブラックの生成を目指した技術開発にも活用される見込み。
なおブリヂストンでは今実証プロジェクトの着手に際して、「今投資は、中期事業計画(2024-2026)において、今後のサステナブルな成長へ向けた「新たな種まき」と位置付ける探索事業の一環です。
当社はサーキュラーエコノミーの実現に向けて、2022年から使用済タイヤのケミカルリサイクルの取り組みを進めています。2023年にはBridgestone Innovation Park(BIP、東京都小平市)に実証機を導入し、使用済タイヤの精密熱分解試験による分解油や再生カーボンブラックを回収する技術開発を進めてきました。
回収した分解油をリサイクルオイル化し、合成ゴムの素原料であるブタジエンなどの化学品を製造することで、再生カーボンブラックとともにタイヤ原材料として再利用される資源の循環を目指していきます」と話している。
なお同社によると、当該パイロット実証プラントは、BIP(Bridgestone Innovation Park、東京都小平市)に導入した実証機で得た精密熱分解の基盤技術を実装している。
そうしたなかで今回は、安定した連続運転に必要なプロセス設計や品質管理などの知見を吸収。分解油や再生カーボンブラック量産を想定したスケールアップ技術の確立を目指す。また技術開発の取り組みと併せて、プラント操業のノウハウ構築やケミカルリサイクル実現を支える人財の育成にも取り組むとしている。
パイロット実証プラント施設概要は以下の通り
1. 所在地:ブリヂストン関工場
岐阜県関市新迫間20 関工業団地内
2. 着工年月:2025年11月(予定)
3. 稼働開始年月:2027年9月(予定)
4. 最大処理能力:使用済タイヤ 7,500トン/年