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2023年7月10日【事業資源】

アウディ、eモビリティ化のなか500人の新雇用を創出

坂上 賢治

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Audi Sport GmbH・製品ポートフォリオ全域担当マネージングディレクターのセバスチャン・グラムス氏と若手技術者たち

 

独・アウディは、自社独自のPPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)ベースの新型Audi Q6 e-tronシリーズの生産をバイエルン州インゴルシュタット所在のアウディ本社工場で開始しているが、同社日本法人は7月10日、そうした取り組みの中で、従業員をどのように確保し資格を向上させているのかを報道向けに訴求した。

 

こうした発信は、ここ数年の自動産業に於ける車両の電動化への流れに伴う人材削減が報道されるなか(EV化による車両構成部品の減少に伴う、生産現場に於ける人員削減が進むとするステレオタイプの捉え方を反証するべく)、ドイツ国内へ向けて、電動化による新たな雇用が創出されていることを内外に向けて訴求する試みの一例であるのだろう。

 

 

それによるとアウディAGのハビエル・ロス最高人事責任者(CHRO) は、「私たちの新しい電気自動車Audi Q6 e-tronの生産により、500人の新しい雇用が創出されます。

 

これは、アウディによるeモビリティへの移行が、雇用創出の原動力となっていることを示しています。多くの雇用を保証しながら、新たな雇用を創出することで、ドイツのインゴルシュタット拠点における雇用の安定性が高まります。

 

そのため、アウディは既にインゴルシュタットで働いている臨時従業員に対しても、正規雇用への転換を働きかけています。

 

eモビリティ専門の雇用の創出に加え、eモビリティへの移行には労働力の変革が不可欠です。アウディのeモビリティへの移行は、資格を取得し、専門知識を習得するために自己研鑽を続ける当社従業員の力によって可能になります。

 

この目的を達成するため、アウディは、従業員に数多くのトレーニングと能力開発の機会を提供しています。

 

 

その焦点は、既存の従業員を育成し、新しいタスクに対応できるようにすることです。Audi Q6 e-tronシリーズの発売に先立ち、過去18か月間でインゴルシュタット拠点の生産、技術開発、セールス部門の約8,300人の従業員が新たに資格を取得しました。

 

この結果、当社は2022年だけで従業員のトレーニングと能力開発に約1億5,000万ユーロを投資しました。またAudi Q6 e-tronの電動ドライブトレインを製造しているアウディ ハンガリーのジェールでも、2022年から約2,000人の従業員が電動化のめのトレーニングを受けています。

 

我々の本社工場は、独自のバッテリー組立施設を有するドイツ初のアウディ拠点となりますが、この体制下で私たちは、eモビリティへの構造的移行を積極的に進めています。

 

バッテリーの組立により、インゴルシュタット拠点では、すでに300件の魅力的で将来性のある仕事が創出されています。同時に、アウディのすべての工場で、電気自動車の生産に活用される貴重なノウハウも創出されています。

 

アウディは、電動化への移行に伴い、世界規模の生産ネットワークを包括的に再構築しています」と語った。

 

 

一方、アウディAGのガード・ウォーカー最高生産責任者(CPO) は、「インゴルシュタットにおけるバッテリー組立は、そうした世界規模の包括的な生産ネットワーク再構築の一環です。

 

アウディは電動化戦略Vorsprung 2030に基づき、内燃エンジンを段階的に廃止する決定を、早い段階で行いました。

 

この決定に基づき、アウディはすべての拠点で電気自動車の生産準備を進めています。これにより、2020年代の終わりまでに、世界中すべてのアウディ拠点で、少なくとも1車種の電気自動車が生産されることになります。

 

併せて我々は、施設の改修を通じて工場および生産プロセスを包括的に 見直しています。アウディの生産部門は、360factory戦略の一環として、工場の変革に意欲的な目標を設定しつつ持続可能性目標を掲げて、その実現に向けて総合的なアプローチを行っているからです。

 

それは最適な生産プロセス、効率向上の基盤としてのデジタル化、持続可能で強靭なサプライチェーン、柔軟性の高い生産ネットワークなど様々です。

 

なかでも最も大きなことは、新たな生産体制下で新たな雇用の機会を創出していることにあります。それが実現した理由は、私たちが既存の生産ネットワークの中で、従業員と協力しながら的を絞った雇用創出を伴う変革に取り組んでいるためです。

 

なお次のステップとして我々は、インゴルシュタット拠点に今後発売される電気自動車のモデルシリーズ向けに、独自のバッテリーモジュール生産施設をつくる予定です。

 

そのためにも当社は生産分野に於ける雇用創出活動を活発化させるべく、金属加工または電気に関するトレーニングを実施。専門的な経験を備えた新たな従業員を創出すると共に募集もしており、現在、オンラインでも新たな申込みを受け付けています。

 

第一次選考面接は、2023年7月21日にインゴルシュタットのアウディ本社で行われ、今後の日程は、同ウェブサイト上に後日発表されます。応募者は、申請書を提出し、事前選考プロセスを通過した後、対面による選考面接が行われます。

 

当社は一方で、先の通りで車両のデジタル化に向けてソフトウェアの専門知識を継続的に蓄積しており、技術開発のためのソフトウェア専門家の雇用も併せて本格化させています」と自社の人材戦略について説明した。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。