100%リサイクルアルミの鋳造技術で英政府から600万ポンドを調達
アストンマーティンは9月17日(英国・ゲイドン発)、サステナブルなアルミニウム鋳物開発で英国政府から600万ポンドの資金提供を受けた。この資金調達により同社のサステナビリティ戦略「Racing. Green.(サプライチェーンが環境に及ぼす影響を改善する取り組み)」は、新たな一歩を踏み出した。
具体的には、英国先進推進システム技術センター(APC)から得た600万ポンドの政府補助金を、コヴェントリーを拠点とするアストンマーティンのアルミニウムサプライヤー「サーギンソンズ社」が主導する5社共同研究開発プロジェクト「PIVOT」に活用される。
この共同研究開発プロジェクトは先の8月に、CSRヨーロッパ(社会的・環境的課題に対して社会的責任を果たすべく、各社が自主経営のなかでステークホルダーとの関係構築に取り組むための欧州連合が定めた取り決め)を推進する自動車メーカー16社のパートナーシップ「Drive Sustainability」に正式に加入したことが、ひとつの契機となった。
アストンマーティンは同プロジェクトへの政府支援を通して、アルミニウム鋳物の設計、重量、炭素排出量、生産量を全面的に見直し100%をリサイクル化。世界の鋳造業界に革命を起こすことを目指す。
APCが英自動車産業の環境負荷技術の向上を大きく後押し
同プロジェクトに対してアストンマーティン・グループで最高技術責任者を務めるロベルト・フェデリ氏は、「APC(英国先進推進システム技術センター)からの資金獲得は、我々が手掛けるプロジェクトにとって大きな後押しになります。
この取り組みは、金属凝固技術を背景としたデジタルツイン・シミュレーションを活用し、低炭素合金の製造に係る知見を獲得。それにより当社製品で利用する素材の飛躍的なリサイクル率向上を目指しています。
当社は、サーギンソンズ社をはじめとする他の研究パートナーと協力して、このプロジェクトの成果で、より大きな手応えが得られることに期待を寄せています。
また昨年の電動化プログラムへの支援に続き、今回もAPCによる志の高いサポート体制に心から感謝しております」と述べた。
自動車製造のサプライチェーン全域で持続可能性を大きく高度化
これに対してAPCで最高経営責任者を務めるイアン・コンスタンス氏は、「今回の共同プロジェクトにより、我が国の自動車製造に関わる環境技術の卓越性が、大きく前進します。
それは自動車生産分野に於ける持続可能な素材調達に始まり、先進エレクトロニクスに係るハードウエア技術の向上、更には高度なスマート・ソフトウェア・システムの構築に至るまで広範囲に及びます。
そもそも我が国にとって自動車セクターの技術水準の高度化は、政府がネットゼロ目標達成を目指すために欠くことのできない要素であり、そのためには今回の取り組みが投資価値の高い機会であることを実証し続けることが求められます。我々は必ずや、それを世界に向けて実証することになるでしょう」と語った。
最後にアストンマーティンでは、高効率なBEV導入を前提としつつも、世界最先端のプラグイン・ハイブリッド車にも対応できる低環境負荷プラットホームを持った次世代Valhallaについては、今年後半にフル生産に入り、2025年には納車が開始される予定だと結んでいる。