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2024年9月19日【ESG】

アストンマーティン、低環境負荷鋳造技術で政府資金を調達

坂上 賢治

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100%リサイクルアルミの鋳造技術で英政府から600万ポンドを調達

 

アストンマーティンは9月17日(英国・ゲイドン発)、サステナブルなアルミニウム鋳物開発で英国政府から600万ポンドの資金提供を受けた。この資金調達により同社のサステナビリティ戦略「Racing. Green.(サプライチェーンが環境に及ぼす影響を改善する取り組み)」は、新たな一歩を踏み出した。

 

具体的には、英国先進推進システム技術センター(APC)から得た600万ポンドの政府補助金を、コヴェントリーを拠点とするアストンマーティンのアルミニウムサプライヤー「サーギンソンズ社」が主導する5社共同研究開発プロジェクト「PIVOT」に活用される。

 

この共同研究開発プロジェクトは先の8月に、CSRヨーロッパ(社会的・環境的課題に対して社会的責任を果たすべく、各社が自主経営のなかでステークホルダーとの関係構築に取り組むための欧州連合が定めた取り決め)を推進する自動車メーカー16社のパートナーシップ「Drive Sustainability」に正式に加入したことが、ひとつの契機となった。

 

アストンマーティンは同プロジェクトへの政府支援を通して、アルミニウム鋳物の設計、重量、炭素排出量、生産量を全面的に見直し100%をリサイクル化。世界の鋳造業界に革命を起こすことを目指す。

 

APCが英自動車産業の環境負荷技術の向上を大きく後押し

 

同プロジェクトに対してアストンマーティン・グループで最高技術責任者を務めるロベルト・フェデリ氏は、「APC(英国先進推進システム技術センター)からの資金獲得は、我々が手掛けるプロジェクトにとって大きな後押しになります。

 

この取り組みは、金属凝固技術を背景としたデジタルツイン・シミュレーションを活用し、低炭素合金の製造に係る知見を獲得。それにより当社製品で利用する素材の飛躍的なリサイクル率向上を目指しています。

 

当社は、サーギンソンズ社をはじめとする他の研究パートナーと協力して、このプロジェクトの成果で、より大きな手応えが得られることに期待を寄せています。

 

また昨年の電動化プログラムへの支援に続き、今回もAPCによる志の高いサポート体制に心から感謝しております」と述べた。

 

自動車製造のサプライチェーン全域で持続可能性を大きく高度化

 

これに対してAPCで最高経営責任者を務めるイアン・コンスタンス氏は、「今回の共同プロジェクトにより、我が国の自動車製造に関わる環境技術の卓越性が、大きく前進します。

 

それは自動車生産分野に於ける持続可能な素材調達に始まり、先進エレクトロニクスに係るハードウエア技術の向上、更には高度なスマート・ソフトウェア・システムの構築に至るまで広範囲に及びます。

 

そもそも我が国にとって自動車セクターの技術水準の高度化は、政府がネットゼロ目標達成を目指すために欠くことのできない要素であり、そのためには今回の取り組みが投資価値の高い機会であることを実証し続けることが求められます。我々は必ずや、それを世界に向けて実証することになるでしょう」と語った。

 

最後にアストンマーティンでは、高効率なBEV導入を前提としつつも、世界最先端のプラグイン・ハイブリッド車にも対応できる低環境負荷プラットホームを持った次世代Valhallaについては、今年後半にフル生産に入り、2025年には納車が開始される予定だと結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。