全てはEVの新潮流に応えていくべく製品の開発速度に注力
三菱電機モビリティとアイシンは10月31日、今年の5月24日付で示していた「三菱電機、三菱電機モビリティ、アイシンが次世代電動化関連製品に関する合弁会社設立に基本合意」 を解消(継続協議は進めていくとの公式見解を示す)したことを明らかにした。一方、これに代わり両社は、次世代電動化関連製品の開発に関する業務提携契約を同日付けで締結した。
もとより三菱電機グループとアイシンは、先の5月に次世代電動化関連製品事業に関する合弁会社の設立に基本合意。合弁会社設立に向けた検討を進めてきたが、OEMの電動化に対する姿勢が多様化する中、限られた経営資源を適切に配置し、新たな魅力ある製品をスピード感を持って開発・提供していくためには、現段階で合弁会社の設立が製品競争力の最適解ではないとの結論に至った。
その要諦は、あくまでも「顧客ファースト」だという。つまり今春の段階では、両社の〝ハード+ソフト技術の融合による摺り合わせの妙〟にあった。
そうした2社の強みを、より孤高なものへと昇華させていくという方策が、刻を追う毎に市場ニーズの流れと沿わなくなり、やがて「駆動用モーター+インバーター+減速機の3 in 1電動アクスル」を目指す流れから、更にDC-DCコンバーター、車載充電器、場合によっては電池管理システムをも統合する「X in 1時代」へと時代の趨勢が大きく変わったのだ。
結果、アイシンは来たる2020年代後半での市場投入を視野に、個社独自で先行開発してきた電動車向けの駆動モジュールに注力する。そして個社単独として開発に係るハンドリングの自由度を高めつつ、あくまでも外部企業としての三菱電機モビリティから技術協力を仰ぎ、製品独自の競争力とシナジー効果を逸早く最大化していく構え(開発した電動駆動モジュールはBluE Nexusを通じた販売を想定)へとスイッチした。
これから両社は、それぞれの強みを生かしながら、要所要所で柔軟に連携することで、多様化する電動化へのニーズに応え、社会全体の課題であるカーボンニュートラルの実現に貢献していきたい考えであるとしている。