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2024年7月23日【事業資源】

アドバンテッジパートナーズ、古河電池株の公開買付け開始へ

坂上 賢治

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キャピタルゲインの獲得を主業とするフプライベート・エクイティ・ファンド( private equity fund )のアドバンテッジパートナーズは7月23日、公開買付け会社を「AP78」と定めて古河電池の発行済全株式を取得( 買収 )するべく、古河電池の普通株式( 約400億円 )に対する公開買付け( TOB )の実施を明らかにした。

 

アドバンテッジパートナーズは、去る2021年に買収した鉛蓄電池会社と古河電池を統合する計画で、これにより主にEVの補助電池や、再生可能エネルギーの貯蔵で活躍する蓄電池産業の再編を主導する構えだ。

 

上記「AP78」は、国内外の競争法に基づく必要な手続き及び対応が完了することなど、一定の前提条件が充足された場合( 又は公開買付者により放棄された場合 )、速やかに当該公開買付けを開始する(  具体的な買付け開始は、来年3月下旬が目安となる見込み  )。

 

今年1月に報道された月面着陸機「SLIM」にも、古河電池の開発製品(ステンレスラミネート型リチウムイオン電池)が搭載されている( JAXA提供 )

 

対して古河電池は、同日開催の取締役会に於いて、AP78側からの公開買付けに賛同の意見を表明すると共に、自社株主に対して公開買付けへの応募を推奨する旨の決議を行った。

 

また古河電池の親会社である古河電気工業は、古河電気工業が所有する全普通株式( 所有割合:57.30% )を以て、当該買付けに応募しないことでAP78と合意している。その後のTOB成立後に保有株式( 57.3% )を一旦、全売却する流れ。古河電池は、一連の取引成立後に上場廃止となる。

 

なお先の通りAP78は、アドバンテッジパートナーズが提供するファンド( APファンド )投資先のサステナブル・バッテリー・ホールディングス( 公開買付者親会社 )の完全子会社。

 

そのA78が公開買付けの決済に要する資金は、公開買付者親会社からの出資と東京センチュリー等の金融機関からの借入れにより賄う。また公開買付者親会社は、公開買付者への出資に要する資金をAPファンド及びにTCインベストメント・パートナーズ( TCIP )から出資調達する建て付けとなる。

 

1.公開買付者の概要
(1)名称:株式会社AP78
(2)所在地:東京都港区虎ノ門四丁目1番 28 号虎ノ門タワーズオフィス17階
(3)代表者の役職・氏名:代表取締役 印東徹
(4)事業内容:経営コンサルティング業、有価証券の取得・保有・運用・管理及び売買、その他これらに付帯関連する一切の業務
(5)資本金:250千円
(6)設立年月日:2024年2月2日
(7)大株主及び持株比率(同日現在):サステナブル・バッテリー・ホールディングス株式会社:100%
(8)当社と公開買付者の関係
 資本関係:該当事項なし
 人的関係:該当事項なし
 取引関係:該当事項なし
 関連当事者への該当状況:該当事項なし

 

2.買付け等の価格
当社株式1株につき、金1,400円( 同日終値を約23%上回る水準 )

 

3.同取引後の想定状況
AP78は取引後、古河電池の全発行済株式( 当該法人としての自己株式を除く )を所有するため、取引後の公開買付者親会社の株式所有割合はAPファンド約60%、TCIP約20%、古河電気工業約20%となる予定。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。