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2024年12月16日【事業資源】

ABB、精密塗装工程シミュレーションのESSと戦略的提携へ

坂上 賢治

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精密塗装工程シミュレーション開発で塗装工程の作業コストを最大30%削減へ

 

エンジニアリング技術をデジタル化と結び付けるABBは12月16日、オーストリアに本社を置くEngineering Software Steyr GmbH ( ESS )と、戦略的提携を結んだことを明らかにした。

 

その目的は自動車塗装工場のオペレーション工程を変革させ、運用コストを最大30%削減できる強力なシミュレーションツールを開発することにある。そのためにABBはESSに少数株主として出資する。出資の詳細は公表されていない。

 

この出資際してABBロボティクスでディビジョンプレジデントとして務めるマーク・セグーラ氏は、「塗装工程をより迅速でエネルギー効率の高いソリューションとして完成させることは、自動車産業に於ける製造のデジタル化に係るパズルの最後の1ピースです。

 

私たちがESSと共同開発している革新的なソリューションは、自動車の開発期間を最大1ヶ月短縮し、最大30%のコスト削減を実現します。これによりメーカーは競争力、効率性、レジリエンスを向上させることができます。

 

 

 

こうしたソリューションを使用することにより、年間30万台の車両を生産するメーカーは、CO2 の排出量を年間約17,000トン削減できる可能性があります(標準的なエネルギーミックスで100kWhの省エネに加え、車体1台あたり2.8kgの廃棄物とオーバーコーティングの削減により年間30万台の生産台数を想定した場合年間16,860トンのCO2削減と試算)。

 

そもそも一般的な自動車塗装工程は、脱脂、電着塗装からシーリング、スプレー、焼き付けまで20以上の個別の工程によって構成されています。そうした各工程では、材料の粘度、接着性、乾燥時間などの様々なパラメータが考慮されますが、これらは新モデルの量産を開始する前にテストと最適化を行う必要があります。従ってこうした各作業の実施と検証には、莫大な費用と時間が掛かっていました」と説明する。

 

ABBは、シミュレーション技術を公平な競争の場を提供することを目指す

 

次いでESSでCEOを務めるマーティン・シフコ博士は、「最適化されたイノベーションを実現するためには、適切なデジタルツールにアクセスできることが重要です。これは大企業、中小企業を問わず、すべてのプレイヤーにとって極めて重要なことです。

 

実際、市場にはそのようなツールが数多く存在していますが、そうしたツールの多くは高額であり規模の小さい企業にとってはデジタルの力を活用すること自体が困難です。一方で当社は、シミュレーション技術を全ての企業が利用できるようにすることで、資本の大小を問わず、公平な競争の場を提供することを目指しています。

 

従って当社が開発したソリューションにより、多くの企業は、素早く技術革新を手中にすると共に環境への影響を低減し、要求の厳しい業界で競争力を維持することができるです。

 

また今回の提携により、多くの顧客企業はABBロボティクスの自動車塗装工程に於ける幅広い専門知識や、精密なディテールを再現するインクジェット方式のビジョン制御塗装ヘッドPixelPaint、最大99%の塗装機効率を実現し、塗料や材料の使用量を削減する高塗着塗装機RB1000i-Sなどの先進的な自動化ソリューション導入による利点を十二分に活用することができるでしょう。

 

そのためにABBは、世界で最も普及しているロボットアプリケーション用オフラインプログラミングおよびシミュレーションツールであるABBのRobotStudio®に、ESSの技術を統合することを目指します。なお、このソフトウェアは、デスクトップ、クラウド、ARプラットフォームのいずれでも利用可能です」と結んだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。