NEXT MOBILITY

MENU

2024年10月29日【ESG】

ABボルボのLNGトラクター、環境省のCN実証で運用開始

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

ボルボ・トラックの日本国内でのインポータ―業務を担うUDトラックスは10月29日、環境省の事業に於ける実証実験(※)のため、ボルボ・トラックのLNG(液化天然ガス)トラクターの提供・運用が始動することを明らかにした。(※令和6年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業<環境省R&D事業>「小規模分散型LNG充填所ネットワーク構築による大型トラック物流の低炭素化手法の実証」)

 

これは、大型トラックによる運輸部門でのCO2排出量削減を目的とし、三菱商事が代表事業者として環境省から受託した実証事業であり、小型LNG充填設備を北海道苫小牧市と石狩市に設置し実証実験を行うもの。

 

同事業の実証実験開始以来、大型LNGトラックによる走行が行われてきたが、トラクターへの需要に応える形で、今年7月11日にボルボトラクターFH LNGの2台の走行が開始された。

 

今日の日本では大型トラックのほとんどがディーゼルを燃料とする中、CO2排出量の削減が喫緊の課題となっている。対してボルボ・トラックは2017年に欧州でLNGトラクターの販売を開始しており、欧州を中心に累積販売台数は6,000台以上に上る。

 

LNGは空気より軽いため、万が一の漏出時にも蒸発し着火しづらく毒性もないので、安全性に優れている。ボルボ・トラックのLNGトラクターは、同型モデルのディーゼル車と比較すると約20%のCO2を削減し、また液化バイオメタンを混合すれば削減率はさらに向上する。

 

今回提供した車両は、LNGと軽油のデュアルフューエルで、最長走行距離は800kmから900kmに及び、LNGがなくなった場合は軽油だけで走行ができる(但し速度は20km/h以下)。

 

今回の実証実験にあたりボルボ・トラックのスウェーデン本社より、海外営業部門の責任者を務めるパー・エリック・ リンドストローム氏が来日。苫小牧市の小型LNG充填設備を訪れた。

 

そのリンドストローム氏は、「日本をはじめ、さまざまな地域で代替燃料への関心が高まる中、世界有数のLNG輸入国である日本市場に於いて、ボルボ・トラックの代替燃料ソリューションは、よりクリーンで静かな輸送の新たな可能性を切り開くことを確信しています。

 

それぞれの国に新しいテクノロジーが導入される際に最も重要なのは、現地の法規に適合することです。我々のインポーターであるUDトラックスは、行政と連携しながら対応を進めています。

 

ボルボ・トラックは今後も、ゼロエミッションを目指し、カーボンニュートラルソリューションの提供を念頭に製品開発に力を注いでまいります」と述べた。

 

なおボルボ・トラックセールスのバイスプレジデントを務める関原紀男氏は、「大型トラック物流の低・脱炭素化を目指すこの事業で、ボルボ・トラックのLNGトラクターを用いて日本国内でのカーボンニュートラルに向けて貢献できることを大変嬉しく思います」と語っている。

ボルボFH LNG の主要諸元
モデル:FH4 x 2 トラクター
キャブタイプ:スリーパーキャブ(SLP)
排気量:13L
馬力:460PS(2024年モデルの ディーゼル車と同等性能)
燃料:LNGと軽油のデュアルフューエル(消費量LNG:軽油=9:1)
LNGタンク容量:205㎏ (軽油170L ・AdBlue 64L)
最大走行距離:800~900㎞

 

以下関連サイト

ボルボ・トラック・ジャパン ウェブサイト
https://www.volvotrucks.jp/ja-jp/

 

LNGトラックの実証事業の紹介ページ
北海道におけるLNGトラック向け小型LNG充填設備の実証事業の紹介 | 三菱商事

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。