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2024年11月8日【事業資源】

カワサキモータースの普通株2割、伊藤忠に異動

NEXT MOBILITY編集部

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カワサキ+伊藤忠・ロゴ

川崎重工業は11月8日、連結子会社である〝カワサキモータース  〟について、自社が保有するの発行済株式の20%(4,000株)をカワサキモータースに売却することと、カワサキモータースが伊藤忠商事に対して第三者割当を行い、発行済株式の20%を割り当てることを、同日開催の取締役会で決議。また、同日付で各当事会社間に於いて資本業務提携に関する契約を締結したことを発表した。なお、効力発生日の来年4月1日を予定していると云う。

 

1.資本業務提携の目的

川崎重工では、2020年度に制定した「グループビジョン 2030」の実現に向けて、社会課題に対するソリューションの創出とそのための体制づくりや成長シナリオの構築を推進。その一環として、カワサキモータースの売上高の目標を1兆円に定めて、同社於いて様々な経営施策を実行してきたと云う。

 

そのようななか、川崎重工とカワサキモータースは、伊藤忠を加えた3社間に於いて、各社のリソースを活用した協業の可能性についての協議を重ねて実施。その結果、伊藤忠をパワースポーツ&エンジン事業の中長期的なパートナーとして、人材交流を積極的に進め、成長戦略の実現を共同で行っていくことを確認、今回の業務提携の合意に至った云う。

 

3社は今後、この提携を通じて、主力市場である世界最大規模の北米市場に於いてユーザー向けファイナンスを直接提供できる体制を整え、市場状況の変化に対する耐性を高め、販売基盤をより強固なものとすることで、カワサキモータースの成長戦略をさらに加速、強化するとしている。

 

なお、伊藤忠は、1960年代以降の二輪車事業の海外進出の初期段階に於いて、輸出業務・欧州販売代理店業務で協業関係にあり、カワサキモータースの事業について深い理解を有しているほか、より消費者に近い川下ビジネスを起点に成長投資ならびに事業拡大を進めており、ユーザー向けファイナンス事業を展開するなど金融会社の運営に豊富な知見・ノウハウも有しているとのこと。

 

川崎重工は、調達した資金をグループビジョン2030で定めた水素事業をはじめとする3つの注力フィールドへの投資にも活用。これにより成長分野への投資を加速させ、グループの持続的な成長をより早期に実現することを目指すと共に、グループの財務体質の改善、資産・資本効率の改善に充当し、適切なバランスシート構成を実現していくとしている。

 

2.資本業務提携の内容

(1)ユーザー向けファイナンス事業を目的とした合弁会社の設立

米国市場向けにユーザー向けファイナンス事業を目的とした合弁会社を設立し、パワースポーツ商品の購入に当たって長期分割払いのニーズが高い同市場に於いて、販売代理店や顧客に対する迅速な審査プロセスや、競争力のあるファイナンスメニューを提供。

 

魅力的な新規モデル導入と並行して、マーケットインの視点で質の高い金融サービスを提供していくことで、カワサキモータースの製品・サービスの更なる拡販を進め、米国でのバリューチェーンを延伸。売上の過半を占める同市場於ける顧客基盤を抜本的に強化し、競争優位性を確立する。

 

ユーザー向けファイナンス事業のスキーム。 ユーザー向けファイナンス事業のスキーム。

 

(2)グローバル販売協力・物流効率化

川崎重工とカワサキモータースの人材交流や、伊藤忠商事が有するグローバル拠点を活用することにより、パワースポーツ商品のグローバルな拡販を進める。

 

また、伊藤忠が自動車ビジネスを通じて深い知見を持つCIS・中近東・アフリカ・中南米等の新興市場を筆頭に、カワサキモータースの市場開拓が進んでいない国での更なる需要取り込みを目指すと共に、伊藤忠グループが有している陸海送物流ネットワークを活用した物流の効率化を図る。

 

(3)資本提携の内容

①上述の広範な業務提携を実施するに当たり、その効果を最大限に実現するべく、米国でのファイナンス事業を目的とした合弁会社の設立に加えて、以下、カワサキモータースの株式の一部を伊藤忠が保有する資本提携を行う。

 

(ⅰ)カワサキモータースは、川崎重工が保有する自社の普通株式4千株を同社から取得する。
(ⅱ)また、伊藤忠に対して普通株式4千株の第三者割当を実施する。
(ⅲ)上記の結果、カワサキモータースの議決権の所有割合は、川崎重工が80%、伊藤忠が20%となる予定。

 

(ⅰ)の概要

 

(ⅱ)の概要

 

3.当該子会社(カワサキモータース)の概要

 

4.資本業務提携相手先(伊藤忠)の概要

 

5.日程
・取締役会決議日:2024年11月8日
・契約締結日:2024年11月8日
・効力発生日:2025年4月1日(予定)

 

6.今後の見通し
川崎重工は、この提携による当期業績に対する影響はないとしている(2026年3月期の川崎重工個別決算で、特別利益として約700億円を計上する予定)。

また、取引後もカワサキモータースは引き続き同社の連結子会社であるため、連結損益への影響は軽微なものになると見込んでいると云う。

 

■参考リンク:パワースポーツ&エンジン事業(カワサキモータース)の成長戦略 (PDF)(6ページ目以降)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。