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2025年1月16日【イベント】

ゾウモーターズ、日本国内市場向け事業説明会を開催

坂上 賢治

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ZO FUTURE GROUP( 本社:香港 )傘下の「ZO(ゾウ)モーターズ( 本社:東京都中央区 )」は1月15日、東京都内に報道陣を募り〝ZO MOTORS事業説明会〟を開催した。経営トップ( 代表取締役社長 )は、かつてビーワイディージャパンで副社長を務めた花田晋作氏だ。( NEXT MOBILITY編集長 坂上 賢治 )

 

 

同社は、商用系EVの製造・販売を世界規模で展開する新興商用車メーカー( 2023年創業 )。事業形態としては、車両設計を自社内で手掛けつつ、車両製造はグループ外のOEMへ外部委託し経営効率を追求している。一方で、米国やカンボジアでは当該政府の要請( 自国内での車両販売は、自国内での完成車製造を義務づけ )を受けて自らが自社工場(ノックダウン生産)を建設してOEM体制を敷くケースもある。

 

そんなゾウモーターズは今回、日本市場への本格参入を視野に来たる2026年末までに5車種の商用EVを投入する計画を明らかにした。

 

 

国内投入の皮切りとなった車両( 市場調査を兼ねたパイロット車両として既に国内投入済み )は、車両総重量( GVW )6トン級・積載量が2.9トン( 91.14kWhの電池容量で1回充電あたり走行距離は180km )の「ZM6」で総出荷台数は約80台。しかし今後は、車両を導入した事業者の意見を取り入れるなどで商品構成を大きく拡充させ、2027年に2100台の販売を目指す構えだ。

 

 

以後の具体的な計画では中・小型のEVトラックの提供に注力していく。まず2025年12月にGVW5トン級( 積載量2トン )の小型トラック「ZM5」を発売する。このZM5は、1回の充電当たり180km( 車両の走行距離は、いずれも同社の参考値 )走行でき、車両販売価格は、市場競争力の高さを考慮し1千万円前後を見込んでいる。

 

次いで2026年6月にGVW7.5トン級( 積載量4.5トン、1回充電あたり走行距離は350km )の中型トラック「ZMN8」が続き、同じ2026年12月に現行の普通免許( 17年以降取得 )で運転可能なGVW3.5トン級の3車種を導入する計画。

 

 

最後のGVW3.5トン級3車種に関しては、搭載バッテリの容量で積載量が異なるバリエーション( 1.7トン、1.5トン、1.2トン )を提供するとしており、最も積載量の大きな車両は1充電で120km走行でき、最も積載量の小さな車両は1充電あたり250km走行できるものとしていく。

 

ちなみに先に販売計画として挙げた2100台の背景は、電動化推進目標として国土交通省が掲げている2030年環境省目標の中間値25%を基準に据えたもの。その数値算出の根拠は、2023年度のトラック新車販売台数10万6300台( 車両総重量3.5t〜8tクラス )から割り出した2万6575台となる。

 

 

但し一足飛びに目標値に到達できるものではないため、第1段階の2025年に目標台数300台( 想定市場の1.5% )、第2段階の2026年に目標台数800台(想定市場の3%)、そして2027年に目標台数2100台とする事業展望であるとした。

 

総じて日本国内向けに投入していく車両は、日本国内の市場ニーズと法制度に沿ったきめ細かな対応車両とするべく、中国の大手OEM( WEICHAI / 潍柴动力股份有限公司 )への生産委託を続けていく。

 

 

また現段階で搭載バッテリーはCATL( 寧徳時代新能源科技 )製のリン酸鉄リチウムイオンバッテリー( LiFePO4 / 正極材にリン酸鉄リチウムを使用 )を採用しているが、バッテリー開発は日進月歩で進化していることからゾウモーターズとしては、日本国内向け車両を提供していくにあたり、常に最も高性能かつ信頼性の高い製品をウオッチし続け、ベストな蓄電池を調達していく考えであるとしている。

 

 

加えて同社が日本市場の参入にあたって最も腐心しているのはアフターサービスの充実だという。そこで日本自動車車体補修協会( JAREA / 国内整備工場3000拠点 )、日本ロードサービス( 全国9700拠点のサービス網 )との業務提携は既に締結済み。

 

スペアパーツの供給についても国内の複数拠点で拡充させており、現時点では48時間以内に求められる補修製品を送り届けられる体制を敷いたとしている。企業としては東京都中央区に本社、大阪に西日本営業所、埼玉県戸田市に東日本サービスセンターを構えており、2025年のQ4に西日本、2026年Q1に中部、2026年Q3には九州地区にサービスセンターを設置する計画だ。

 

 

花田社長は会見の壇上で、「本来、このような会見では、大きな事業数値を申し上げたいところではありますが、我々は新興企業であるので、お客様にとっての不安要素は、やはりサービス網やサービス体制ということになります。

 

 

従って広域メンテナンスの体制や、アフターメンテナンスの内容や質に注視し、まずは手厚いサービス拡充に注力していきたい。そのなかで我々の実績をご確認頂きながら、真摯にお客様と向き合い、丁寧な会話を続けながら着実な歩みを進めていきたい」と述べていた。

 

最後に販売車両の一部は、1月22日〜24日に東京ビッグサイトで開催される「スマート物流EXPO」で展示される予定だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。