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2022年12月9日【自動車・販売】

横浜ゴム、インドネシアの天然ゴム供給大手と覚書締結

坂上 賢治

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セミナーイベントで行われた農業技術に関するクイズ大会の様子

 

横浜ゴムは12月9日、インドネシアの天然ゴムサプライヤー大手「PT Kirana Megatara Tbk( PTキラナ メガタラ株式会社 < TbkはTerbukaの略 > )」と、去る12月1日に天然ゴムの調達方針についての覚書を締結したと発表した。

 

両社が覚書の締結を交わした理由は、横浜ゴム自身も自らの経営の骨子に据える〝持続可能な天然ゴムの調達方針〟に基づくもの。従ってこの覚書には、天然ゴム農家の経営支援、サプライチェーンの透明性、並びに健全性の確保、が記されており、今後は双方共に手を携えて国際的なトレーサビリティの向上を目指す。

 

その想いには、人口増加とモビリティ分野の発展に伴い、タイヤ主原料の天然ゴム需要が加速度的に増大していく事への懸念があった。実際、タイヤ製品の原材料を調達する当地では、違法な森林伐採、土地収奪、人権侵害、生物多様性への悪影響等の懸念が顕在化しているのだ。

 

そこで横浜ゴムは、2017年に国際ゴム研究会( 天然ゴムや合成ゴムの生産国、並びに消費国とで構成される政府間組織 )が提唱する〝持続可能な資源のためのイニシアティブ( SNR-i )〟に参画。

 

加えて翌2018年には、発足したばかりの天然ゴムのための国際プラットフォーム( GPSNR /Global Platform for Sustainable Natural Rubber / グローバルプラットフォーム・フォー・サステナブルナチュラムラバー )に参画。そして2021年には先の〝持続可能な天然ゴムの調達方針〟を独自で改定。更に今はGPSNRの活動との連携を強めている。

 

セミナーイベントで行われたタッピングコンテストの様子

 

これらを踏まえ覚書を取り交わした12月1日は、PT Kirana Megatara Tbkと連係する小規模農家約50名+地域政府者が参加するセミナーイベント( 天然ゴムの品質向上・生産性向上を目的としたもの )を開催。

 

そのイベントで、タッピング( ゴム成分を湛えるパラゴムノキから樹液成分のラテックスを採取するため樹皮に傷をつける作業 )コンテストや、ゴムの農業技術に関するクイズ大会などを実施。更に個々の農家宛へ、ゴム園経営のための肥料と天然ゴムの凝固剤を無償提供した。

 

ちなみに横浜ゴム自身は、今覚書締結に遡る2年前の2020年に当地の企業を束ねるタイ天然ゴム公社( Rubber Authority of Thailand, RAOT )との覚書を取り交わしており、その翌年の2021年度から2023年度迄の自社の中期経営計画「YX2023 / Yokohama Transformation 2023( ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン )」では既に〝未来への思いやり〟を掲げていた。

 

それゆえ天然ゴムに関わる全ての農家を対象に、天然ゴムの地域サプライヤーを包括した交流イベント「サプライヤーズ・デー」を世界規模で実施。タイでは天然ゴムの品質や生産性に関わる同国大学との共同研究。

 

天然ゴム農家の安定収入を支援する「アグロフォレストリー」などの様々な継続的な支援活動を介して、タイの天然ゴム生産の持続可能性の実現に今後も積極的な取り組んでいくとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。