セミナーイベントで行われた農業技術に関するクイズ大会の様子
横浜ゴムは12月9日、インドネシアの天然ゴムサプライヤー大手「PT Kirana Megatara Tbk( PTキラナ メガタラ株式会社 < TbkはTerbukaの略 > )」と、去る12月1日に天然ゴムの調達方針についての覚書を締結したと発表した。
両社が覚書の締結を交わした理由は、横浜ゴム自身も自らの経営の骨子に据える〝持続可能な天然ゴムの調達方針〟に基づくもの。従ってこの覚書には、天然ゴム農家の経営支援、サプライチェーンの透明性、並びに健全性の確保、が記されており、今後は双方共に手を携えて国際的なトレーサビリティの向上を目指す。
その想いには、人口増加とモビリティ分野の発展に伴い、タイヤ主原料の天然ゴム需要が加速度的に増大していく事への懸念があった。実際、タイヤ製品の原材料を調達する当地では、違法な森林伐採、土地収奪、人権侵害、生物多様性への悪影響等の懸念が顕在化しているのだ。
そこで横浜ゴムは、2017年に国際ゴム研究会( 天然ゴムや合成ゴムの生産国、並びに消費国とで構成される政府間組織 )が提唱する〝持続可能な資源のためのイニシアティブ( SNR-i )〟に参画。
加えて翌2018年には、発足したばかりの天然ゴムのための国際プラットフォーム( GPSNR /Global Platform for Sustainable Natural Rubber / グローバルプラットフォーム・フォー・サステナブルナチュラムラバー )に参画。そして2021年には先の〝持続可能な天然ゴムの調達方針〟を独自で改定。更に今はGPSNRの活動との連携を強めている。
セミナーイベントで行われたタッピングコンテストの様子
これらを踏まえ覚書を取り交わした12月1日は、PT Kirana Megatara Tbkと連係する小規模農家約50名+地域政府者が参加するセミナーイベント( 天然ゴムの品質向上・生産性向上を目的としたもの )を開催。
そのイベントで、タッピング( ゴム成分を湛えるパラゴムノキから樹液成分のラテックスを採取するため樹皮に傷をつける作業 )コンテストや、ゴムの農業技術に関するクイズ大会などを実施。更に個々の農家宛へ、ゴム園経営のための肥料と天然ゴムの凝固剤を無償提供した。
ちなみに横浜ゴム自身は、今覚書締結に遡る2年前の2020年に当地の企業を束ねるタイ天然ゴム公社( Rubber Authority of Thailand, RAOT )との覚書を取り交わしており、その翌年の2021年度から2023年度迄の自社の中期経営計画「YX2023 / Yokohama Transformation 2023( ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン )」では既に〝未来への思いやり〟を掲げていた。
それゆえ天然ゴムに関わる全ての農家を対象に、天然ゴムの地域サプライヤーを包括した交流イベント「サプライヤーズ・デー」を世界規模で実施。タイでは天然ゴムの品質や生産性に関わる同国大学との共同研究。
天然ゴム農家の安定収入を支援する「アグロフォレストリー」などの様々な継続的な支援活動を介して、タイの天然ゴム生産の持続可能性の実現に今後も積極的な取り組んでいくとしている。