メルセデス・ベンツと歩んだ68年。ヤナセが日本の輸入車市場を切り拓く
ヤナセ(本社:東京都港区、代表取締役社長:𠮷田 多孝)は7月25日、メルセデス・ベンツの新車の累計販売実績が先の7月22日で100万台に到達したと発表した。ここに至った経緯は、1969年に1万台に到達したのを契機に10万台到達が1988年、30万台が1997年、50万台が2003年、80万台が2014年という実績を積み上げてきた。(坂上 賢治)
そもそもヤナセは、1915年(大正4年)に同社創業者である梁瀬長太郎氏が、現在の東京・日比谷ミッドタウンの場所に「梁瀬商會」を設立。1919年(大正8年)に東京芝浦で自社工場開設。米国車やイタリア車の輸入業務を経て車体製造業も手掛け、関東大震災の最中に於いてはバス・タクシー事業も担い、第二次世界大戦以前からはメルセデス・ベンツの指定工場にも認定されていた。
そして戦後を迎えて間もない1952年(昭和27年)5月、ダイムラー・ベンツから当時のウエスタン自動車(1950年12月にヤナセが100%出資で設立した子会社)が日本国内でのメルセデス・ベンツの販売権を獲得。このウエスタン自動車が授権会社となり同ブランド車の販売を開始した。
1952(昭和27)年に初輸入されたメルセデス・ベンツ『170V』
ちなみにその際、発注した第1号車は「170V」、「170S」、「220」、「300」各1 台という内容だったという。さらにその4年後の1954年(昭和29年)4 月、ヤナセグループに対してダイムラー・ベンツ社全製品の日本総代理権が承認され、1987年(昭和62年)10月1日からヤナセがAMG 社と合弁で設立したエーエムジー・ジャパンが日本でのAMG 製品(車両、部品)の輸入、販売、サービスを開始。
1956(昭和31)年、メルセデス・ベンツ『300 SL』の展示会風景
1986年(昭和61年)1月メルセデス・ベンツ日本が現地法人を設立、翌年1月にメルセデス・ベンツの輸入権を同社に返上。ヤナセはメルセデス・ベンツと部品のディストリビューションを引き継ぎ、新車整備や物流、部品の供給業務は両社の合弁会社に移管した。またAMG 社のダイムラー・クライスラー社(当時)の子会社化に伴い、 2001年(平成13年)1月AMG の輸入権を日本現地法人に。2006年(平成18年)10月からメルセデス・ベンツのディーラー専業体制に移行した。
1958(昭和33)年、建設中の東京タワーとメルセデス・ベンツ『W120』
そうしたなかでもヤナセは同ブランド車の車両販売を手を緩めることなく、今日もメルセデス・ベンツの正規販売店として全国104 店舗で新車販売拠点を展開している。ヤナセでは「〝クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている〟をコーポレート・アイデンティティーに今後もメルセデス・ベンツをはじめ、輸入車を愛するお客さまの安心・安全で快適なカーライフの実現を目指 し、より充実したサービスの提供と体制構築に努めてまいります」と語っている。
1963(昭和38)年、吉田 茂 元首相に納車したメルセデス・ベンツ『300 SE long』