ヤマト運輸は9月12日、三菱ふそうトラック・バス(以下、MFTBC)が開発した電気小型トラック「eCanter(イーキャンター)」の新型モデル約900台を、今月から全国に順次導入すると発表した。なお、同社によるEV2トントラックの導入は、今回が初になると云う。
ヤマトグループでは、「2050年温室効果ガス(GHG)自社排出量実質ゼロ」および「2030年GHG自社排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向け、その主要施策の一つとして、2030年までにEV2万台の導入目標を掲げ、小型トラックを中心にその導入を進めるなど、サステナブルな物流の実現に向けた各取り組みを進めていると云う。
また、昨年7月には、グリーンデリバリーの実現に向けた案件が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」プロジェクトの助成事業として採択され、群馬県でEV導入・運用、エネルギーマネジメントに向けた実証なども行っている。
以上の経緯から、今回、ヤマト運輸は、MFTBCの新型「eCanter」約900台を全国に順次導入し、EV導入を着実に進める。さらに、EV運用オペレーションの最適化に向けた各取り組みや、再生可能エネルギー由来電力の活用、エネルギーマネジメントシステムの開発も積極的に進めることで、サステナブル経営に取り組んでいくとしている。
EV小型トラック導入の概要
– 導入台数:約900台
– 導入開始時期:2023年9月から全国に順次導入
車両特長と主要諸元
走行中にGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)を排出せず、振動や騒音が少ない環境に配慮した車両で、都市部や住宅街での集配業務に適している。また、安全性や作業効率も考慮。
(1)常温・冷蔵・冷凍機能の3室を備え、3温度帯に対応。
(2)車幅が狭く、コンパクトで小回りが利くため、街中での配送に適している。
(3)充電口が車両後方にあるため、日々の充電や荷室からの荷物の出し入れがしやすい仕様になっている(※1)。
※1:充電口を車両後方に取り付ける仕様は、普通充電口のオプション設定。
【主要諸元】
(1)寸法・重量
– 型式:ZAB-FEAVKB2CS00B
– 全長:5,390mm
– 全幅:1,910mm
– 全高:3,120mm
– 車両重量:3,760kg
– 車両総重量:5,870kg
– 最大積載量:2,000kg
– 乗車定員:2人
(2)EV仕様
– モーター性能:
・最高出力:110KW/150PS
・最大トルク:430Nm
– 走行用バッテリー:
・バッテリーサイズ:Sバッテリー
・種類:リチウムイオンバッテリー
・定格容量:41kWh
– 最高速度:89km/h
– 航続距離/1充電:116km(*)
*航続距離は一充電当たりの走行距離で、国土交通省審査値。60km/h走行、半積載、平ボディの場合。実際の走行距離は気候、実際の走行環境や運転方法に応じて大きく異なる。
– 充電時間:
・急速充電: CHAdeMO方式(50kW/70kW)で約50分/約40分(0→90%)
・普通充電(6kW)で約8時間(0→100%)
両社代表者のコメント
・三菱ふそうトラック・バス 代表取締役社長・CEO カール・デッペン氏
新型「eCanter」は振動が少なく、セールスドライバーの作業負荷の軽減や、安全運転をサポートするゼロエミッション車両です。ヤマト運輸は初代「eCanter」を2017年に25台導入され、これまでの運用経験を踏まえその有益性を評価いただいています。
新型「eCanter」がこれから全国で活用されることで、私たちはヤマト運輸が目指すカーボンニュートラル実現の一助としてサポート出来ることを光栄に思います。また、「FUSO グリーンリース」を導入いただいたことを喜ばしく思います。このプログラムを通じて、eモビリティへのスムーズな移行を支援してまいります。
・ヤマト運輸 代表取締役社長 長尾 裕氏
ヤマトグループは「2050年GHG自社排出量実質ゼロ」の実現に向け、様々な取り組みを進めています。なかでもEV導入は、当社のサステナブル経営を進めるうえで極めて重要な取り組みです。
またEVを導入するうえで、環境への配慮や、車両性能はもちろんのこと、働く社員にとって使いやすい車両であることが重要であり、車両メーカーさまのご理解とご協力が不可欠です。
今回導入する新型「eCanter」は、GHGを排出しないことはもちろん、2トントラックで積載量がありながらコンパクトで小回りが利くなど、集配業務においても非常に使いやすい車両です。今後も、パートナー企業や地域の皆さまと連携して、サステナブル社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。