ヤマハ発動機は、8月8日、東京都内で2018年12月期第2四半期(2018年1~6月)連結決算の発表会を実施。同社の日高祥博代表取締役社長等が出席し、売上高は前年同期比2.8%増の8,513億円、営業利益は同0.1%増加の822億円、経常利益は同5.0%減少の793億円となったことを発表した。
売上高の増加要因について、同社は「新興国二輪車事業およびマリン事業、ならびに産業用機械・ロボット事業の販売好調」を挙げている。
また、営業利益は、売上高の増加に加え、新興国二輪車事業や産業用機械・ロボット事業の商品ミックス改善が、先進国二輪車事業の減益を吸収して前年並みとなったとしている。
セグメント別の業績は以下の通り。
【二輪車】
売上高5,154億円(前年同期比62億円・1.2%増加)、営業利益312億円(同25億円・7.5%減少)となっている。
売上高は、新興国が牽引役で、インドネシア、インド、フィリピンなどにおける販売台数の増加(アセアン全体の売上高2,803億円)や商品ミックスの改善などにより、増収・増益。
一方の先進国では、欧州で大型スポーツモデルの販売台数が減少したこと等により、減収・減益となっている。
新興国アセアンで好調な理由を日高社長は、同社が市場投入する125cc〜155ccスクーターのプラットフォームモデルの販売が伸びていることを挙げている。
特に、最近はユーザーの高級志向の高まりによりプレミアムクラスの人気が高く、スポーティモデルのNMAXが堅調。また、2018年4月にプレミアムクラスのエントリーモデルとして発売したLEXi(下)も売上増に貢献しているという。
【マリン事業】
売上高1,887億円(前年同期比90億円・5.0%増加)、営業利益382億円(同13億円・3.5%増加)。
北米でのウォータービークルとスポーツボートの販売台数が増加し、増収・増益となった。
【特機事業】
売上高713億円(前年同期比43億円・6.5%増加)、営業利益11億円(同2億円・18.6%増加)。
四輪バギー、ゴルフカーの販売台数が増加し、増収・増益となっている。
【産業用機械・ロボット事業】
売上高353億円(前年同期比45億円・14.6%増加)、営業利益88億円(同25 億円・40.3%増加)。
サーフェスマウンターの商品ミックス改善などにより、増収・増益となっている。
【その他の事業】
売上高406億円(前年同期比8億円・1.8%減少)、営業利益29 億円(同14億円・32.6%減少)。電動アシスト自転車の商品ミックス悪化などにより減収・減益となった。
ちなみに、2018年12月期の通期連結業績予想については、
マリン事業、新興国二輪車事業、産業用機械・ロボット事業の増収・増益要因が、先進国二輪車事業の減収・減益要因を吸収する見通しのため、通期の当初予想(売上高1兆7,000億円、営業利益1,500億円、経常利益1,550億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,030億円)から変更はないことも明らかにしている。
なお、今後の事業展開について、日高社長は以下のような内容に言及している。
・二輪事業では、アセアン等の新興国でプレミアムトップエンドモデルの需要が伸びていることから、主力のモペット(スクーター)タイプに加え、モーターサイクルタイプの大型スポーツモデルの導入を検討。
また、逆に大型スポーツモデルの需要が伸び悩む欧米では、サプライチェーンの見直し等で在庫の健全化を図る。
・マリン事業では、大型船外機の需要が高まる主力の北米市場向けに、軽快なレスポンスを発揮する電動ステアリング等を採用した排気量5,559cm3のF425Aを2018年5月に発売。今後も大型化に加え、トータルバリューが高い製品を投入していく。
・新記事業としては、産業用無人ヘリコプターを活用した工事用資機材運搬の事業を2019年度から開始することを目指す。また、ロボティクス技術等、現在研究開発を進めている新モビリティ分野の実用化やマネタイズも検討していく。