昨今、自動車の車室内に大型のタッチスクリーンモニターや、スマートフォンとの連携機能が導入されていることで、ドライバーが運転中に注意散漫になることへの議論が活発化している。しかしボルボ・カーズで安全技術に関わるエンジニアは、「人間にとって〝気が散る〟ことは日常生活に於けるいつもの一場面であり、我々は最新技術を用いてそうした瞬間も積極的にサポートしていくべき」と話す。
同社の〝人の安全と行動に関わる科学的研究〟によると、車内で最新技術が正しく機能していれば、気が散ることを積極的に減らし、運転時の安全性を高め、人々がより運転に集中できるようになるという。
ボルボ・カーズ・セーフティ・センターの責任者であるマリン・エクホルム氏は、「現代のドライバーにとって、災いの元凶はスマートフォンやタッチスクリーンだと考えるのは簡単です。しかし実際には既に現代人の生活そのものが複雑になってしまっているのです。
そのためドライバー本人の無意識のまま注意散漫になってしまう。そんな場面はよくあります。例えば保育園に遅刻してストレスを感じることも。あるいは仕事で嫌なことがあった後にハンドルを握ってしまうこともあります。これらはすべてドライバーとしてのあなたに影響を与えます。
ちなみに注意散漫になってしまうという観点から見ると、スマートフォンや大型のタッチスクリーン、さらにはラジオさえない1940年代の自動車は現代より安全だと言う人もいます。けれども実際には今も昔も、人々は友人、家族、仕事、エンターテイメントと繋がっていたいと考えていた筈で注意散漫になってしまう経緯や個々に感情をコントロールする術は人それぞれです。
当社は、注意力が散漫になる状況を極力回避するため最新技術を積極的に活用しています。例えば、自動ブレーキ機能やステアリング・アシスト機能を搭載するなどこれらの安全システムは、ドライバーが集中力を失ったり、一瞬気が散ったりした場合に、車載システムがドライバーをサポートするように設計しています。
一例を挙げると新型XC40 Recharge(BEV)では、アンドロイドOS搭載のインフォテインメントシステムを介したボイスコントロールにより、ドライバーはステアリングを握ったままで室内温度のコントロール、目的地への移動設定、お気に入りの音楽やポッドキャストの再生、母親への誕生日の電話を掛けるなどを行えます。
当社の車両は音声のみで搭載機能を操作できるため、ドライバーはハンドルから一切手を離さず、道路から目を離さないでいることができます。また併せて我々が開発した能動的な安全技術は、運転中のドライバー見守るもうひとつの目としても機能します。
私たちは車載カメラやその他のセンサーを活用し、ドライバーが注意力散漫になることへ対して積極的に対応していくべきだと考えています。このような最新技術を役立ててることで運転中、明らかに注意力が散漫になっていたり、酩酊しているドライバーに対して、重大事故を引き起こす前に車載システムが介入します。
ドライバーへの介入スタイルには、車両の速度を調整すること、ボルボ・オン・コールのアシスタンス・サービスが警告を出すこと、さらに最後の手段として車両の速度を段階的に下げていき、安全に車両に停止させることも含まれています。当社は、これらのためのセンサーを次世代プラットフォームであるSPA2に導入することを計画しています」と結んでいる。(※日本国内への導入時期は2021年以降を想定しているという)
マリン・エクホルム氏の技術説明などの動画(英語)は、以下URLの〝ボルボ・スタジオトーク〟で閲覧できる。https://live.volvocars.com/ このボルボ・スタジオトークでは交通安全をテーマに、人が注意力散漫になる場面やその対処方法など、安全技術を用いて車両が果たすべき議論をウェブ配信中で繰り広げている。