帝国データバンクは3月2日、2020年8月31日に名古屋地裁へ民事再生法の適用を申請していた渡辺自動車が、2月15日に同地裁より破産手続き開始決定を受けていたことが判明したと発表した。
破産管財人は鈴木誠弁護士。財産状況報告集会期日は5月12日午後3時。
渡辺自動車は、1933年(昭和8年)創業、86年(昭和61年)4月法人改組の自動車販売業者。長年の業歴を有する当地区老舗の輸入車販売業者で、仏・シトロエンの車種を主力としていた。従前は、ジャガーやランドローバー、マセラティといった高級車種も取り扱い、整備や車検のほか自動車保険の代理業務も手がけ、2017年12月期には年売上高約41億円を計上していた。
しかし、高額な欧州車を中心に取り扱っていたため、景況感や為替相場の煽りを受けやすい業況で、同期には約3億2600万円の最終赤字を計上していた。その後も個人消費の低迷が続いたこともあって売上、収益ともに回復せず、2019年12月期は年売上高約24億3900万円に対し、約7億3900万円の最終赤字となり債務超過に転落していた。
その間、関東の輸入車販売を主に手がける企業グループの傘下に入り、業況回復を図ったものの奏功せず、社有不動産の売却なども不調に終わり自力での再建を断念。2020年8月に民事再生法の適用を申請し事業再生を進めることとなったが、輸入車等のディーラー事業を手がけるGLIONグループ(兵庫県神戸市)とのスポンサー支援に向けた協議の結果、事業譲渡を速やかに進めるために破産手続きを選択することとなり、1月18日に再生手続き廃止決定を受けていたところ、今回の措置となった。
負債は約30億円の見込みだが流動的。
なお、事業はGLIONグループのN・バロウに譲渡され、店舗等の営業は継続している。