ボルボ・カーズは2月8日、今後数年間で、スウェーデンのトースランダ工場に100億クローネ(約1,300億円)を投資すると発表した。
ボルボ・カーズは、この投資の一環として、より持続可能な新技術と製造工程の導入を予定している。その中には、アルミニウムボディ部品にメガキャスティングを導入、新しいバッテリー組立工場、塗装工場と最終組立工場の全面改修などが含まれる。
今回の投資は、ボルボ・カーズとバッテリーセル大手のノースボルトが、ボルボの次世代電気自動車向けの高品質でオーダーメイドのバッテリーの開発及び製造に300億クローネ(約3,800億円)を投資すると発表したことに続くもの。
CEOのホーカン・サムエルソンは、「これらの投資により、私たちは電気自動車の未来に向けて重要な一歩を踏み出し、さらに高度で優れた電気自動車を生み出す準備をします。トースランダは当社最大の工場であり、2030年までに完全な電気自動車メーカーとなることを目指す当社の継続的な変革において、重要な役割を果たすことになるでしょう」と述べている。
ボルボの次世代電気自動車モデル用アルミボディ部品のメガキャスティングの導入は、車のフロア構造の主要部分を1つのアルミニウム部品として鋳造することで重量を減らし、エネルギー効率を向上させ、それによって電気自動車の走行距離を延ばすことができる。また、ボルボの設計者は、キャビンやラゲッジエリア内のスペースを最適に利用することができ、車全体の実用性を高めることができる。
メガキャスティングには、製造工程の複雑さを軽減するというメリットもある。これにより、材料の使用や物流面でコストを削減し、製造とサプライチェーンのネットワーク全体における環境負荷を削減することができる。
塗装工場のアップグレードでは、新しい機械の導入と新しいプロセスの導入により、塗装工場のエネルギー消費と排出物を継続的に削減することが期待される。
新しいバッテリー組立工場では、バッテリーセルとモジュールを車の床構造に統合。また、車体組立工場は、次世代電気自動車製造に向け、一連の改修が実施される予定。例えば「結婚点」と呼ばれる、車のトップボディと床にあたる部分が初めて出会うポインを改修する。
物流エリアも改修され、それに伴い工場へのコンポーネントや部品の輸送が最適化される予定。また、休憩所、ロッカールーム、オフィスなど工場周辺の施設にも投資し、従業員の労働環境をさらに改善する。
ボルボ・カーズのエンジニアリングおよびオペレーション部門の責任者であるハビエル・ヴァレラは、「今日は、トースランダ工場にとって素晴らしい日です。私たちの未来はオール電化であり、そのためには工場全体で様々なアップグレードを行い、トースランダが最高品質のプレミアム電気自動車を製造し続けられるようにする必要があります」と述べている。
トースランダ工場は、年間30万台の生産能力を持ち、ボルボ・カーズで最も長く稼働している製造施設の一つ。1964年4月にスウェーデン国王グスタフ6世アドルフによって開設され、長い間、同国最大の単一職場であった。現在、トースランダ工場は3交代制で、約6,500人の従業員が働いている。