Volvo Trucks、IKEA、Raben Group が協力してゼロエミッション輸送を加速
ボルボトラックス、イケア・インダストリー、ラーベン・グループは9月14日(北欧時)、重量物輸送に関関わるゼロエミッション協定を締結した。( 坂上 賢治 )
これを基礎にイケアは、ラーベン・グループが担うポーランド内のイケア・インダストリーの製造2拠点に跨がる部材・商品輸送でボルボの大型BEVトラックを導入する。これにより特定の区域に限られるものの輸送ネットワーク下の輸送部門が100%電化される事になる。
そもそもイケアは、世界規模で年間200万件以上の輸送に係る出荷業務を消化している。また輸送に係る温室効果ガス排出量を、出荷毎にマイナス70%削減させるという戦略的な気候目標を掲げている企業でもある。
しかしイケアが、これを達成するためには大型車両による輸送の電動化が不可欠だ。そこでイケア・インダストリー、ボルボトラックス、ラーベン・グループは、ゼロエミッションのボルボFMエレクトリックトラックの配備で協業する事を決めた。
まずはポーランド西部のイケアインダストリー拠点間輸送に使用される
具体的には同車両が、ポーランド西部で14キロメートル離れたズボンシネクとバビモスト間のイケアインダストリー工場間で商品や部材輸送のために使用される。最初の電気トラック導入は、今秋に運行を開始。時間を掛けて運行上に於ける輸送効率と照らし合わせながら徐々に拡大させていく計画だ。
また輸送に使われる大型BEVトラックへの給電は、イケア・インダストリーの施設内で外部ソースから提供されている再生可能電力を利用して充電する。
この輸送プロジェクトについて、イケア・インダストリーでマネージングディレクターを務めるマウゴジャタ・ドビエス=トゥルルスカ氏( Małgorzata Dobies-Turulska )は、「この度、持続可能な輸送事業を推し進める同コラボレーションの発表を行えた事を誇らしく思います。
このプロジェクトの進展により、大規模輸送に於ける炭素中立の実現について、様々な学びを得る事が出来ます」と話しており、加えてボルボトラックスの欧州中部東部&東部担当のロベルト・グロズダノフスキー( Robert Grozdanovski )上級副社長は、「より持続可能なトラック輸送に向けて、イケア並びにラーベングループと協力出来る事を大変光栄に思っています。
両社は弊社と同じく、野心的な気候中立目標を掲げています。このプロジェクトは、私たちに貴重な知見をもたらし、未来に向けて3社の重要なコラボレーション基盤となるでしょう」と語っている。
更にFH、FM、FMXの44トン級の大型電動トラックの量産も開始へ
更にレーベン・トランスポートで、マネージング ディレクターをー務めるピョートル・バナシアク氏( Piotr Banasiak )は、「レーベン・グループにとって、このプロジェクトはSBTi( サイエンス・ベースド・ターゲット・イニシアチブ/科学的見地に基づく戦略目標 )を掲げる専門家達によって推し進める野心的なCO2削減計画に向けて、当社の脱炭素化プロセスを目指す最初のステップとなります。
またこれは、未来のトラック輸送の姿を求めていく重要なプロジェクトでもあります。当社は24トン級のトレーラーで電気トラックを走らせるという野心的な取り組みに着手した欧州最初の物流会社のひとつになりました」と胸を張る。
なおボルボ トラックスは現在、FH、FM、FMXの44トン級の大型電動トラックの量産も開始している。現時点で既存パワーユニットを含む3つのモデルは、同社の売上高の約3分の2を占める存在だ。
2030年迄に世界規模で電動トラックを50%とする壮大な目標を掲げる
ホルボ・トラックス社長のロジャー・アルムは、「これはマイルストーンのひとつであり、私たちが業界の変革をリードしている事を証明するものです。
実際、我々が世界に向けて初の大型電気トラックを披露してから2年も経っていません。しかしこれらの電動モデルの生産計画はスウェーデン・ヨーテボリのトゥーベ工場を皮切りに、来年にはベルギーのゲント工場でも始動します。
当社では、従来の内燃エンジン搭載トラックと同じ生産ラインでBEVトラックを造り出しており、電動トラックを生産する上での柔軟性と効率性で優位点があります。なおバッテリーは、ゲントの新しいバッテリー組立工場から供給されます。
昨今、カーボンフリーの実現を目指して電動トラックの需要は急速に拡大していますが、我々は欧州で使われるトラックの45%をカバー出来る体制を敷いています」と述べた。
実際、ボルボトラックスはこれまで大型BEVトラックを2,600台以上出荷しており、欧州地域で6車種の電動車は、都市内の配送やゴミ処理、地域輸送、建設作業など幅広い用途をカバーする。しかしボルボトラックスでは今後、2030年迄に世界で販売するトラック総販売台数の50%を電動化するという壮大な目標を掲げている。