スウェーデンのボルボ・カーズは3月2日、2030年までにすべてのクルマをピュア電気自動車(EV)にするとともに、EVはすべてオンラインのみで販売すると発表した。そのEV専用モデル第1弾となる「C40」を東京、ミラノ、ニューヨークで公開。日本市場には今秋、投入する予定だ。(佃モビリティ総研・松下次男)
このところ欧州メーカーを中心に脱内燃機関を表明するところが相次いでいるが、ボルボは販売手法まで踏み込んで変革を加速する。
オンラインでボルボの電動化戦略を表明したホーカン・サムエルソンCEOは、ビジネスの進化について「電動化と充電インフラへの投資がカギになる」と述べたうえで、「2025年までに販売台数の半分をピュアEVに、2030年までにすべてのクルマがEVになる」と強調した。
そしてカスタマケアについて「電動化するだけでなく、お客様に耳を傾けなければならない」とし、EVの販売チャネルを分離、オンラインのみで販売する方針を示した。その理由として「同じ価格で提供し、公平、透明性を保つ」ためとした。
ボルボ・カーズの2020年下半期の世界販売はコロナ禍にも関わらず39万1751台と前年同期比7・4%増の伸びを達成。その中で、外部充電可能なリチャージ車のプラグインハイブリッド車(PHV)が約3分の1を占めるなど車両電動化が一層、加速した。
市場をみても、北欧をはじめドイツや英国などで電動車比率が急速に高まっており、とくにこの1年ほどで一気に成長したのがピュアEV。また、気候変動への対応は自動分野も責務の一つとの考えを示し、ハイブリッド車(HV)を含む内燃機関搭載車に代え、ピュアEVメーカーを目指す方針を打ち出した。
そこで具体的なEV化の第一歩として投入するのがクロスオーバーEVモデルの「C40」。そのモデル公開の一つの会場となったのが東京のボルボ・カー・ジャパンのショールームである。
ボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長は本体での電動化戦略表明を受け、日本でもハイブリッド車(HV)を含む内燃機関搭載車に代えて、「EVの販売比率を高め、2025年には35%、2030年には100%を目指す」方針を示した。
具体的には2025年段階で、年間販売目標2万5000台のうち、9000台弱をEV車両とする計画だ。
その第1弾となるC40を日本へ「今秋、投入する」と表明。世界的な販売方針に沿いEVモデルはすべてオンライン販売することになるが、最初の100台は新たなサブスクリプションプランで展開すると述べた。
ボルボはこれまで「ケア・バイ・ボルボ」の名称でサブスク・サービスを展開してきたが、今後は利便性を高め、より幅広い顧客サービスへと衣替えする予定だ。
ボルボのEV化戦略の第1弾となるC40はフロントとリアにツインモーターを搭載し、78キロワットのバッテリーは約40分で80%の急速充電が可能という。
1充電当たりの航続距離は約420キロメートル。また、ソフトウェアをOTA(オーバー・ザ・エアー)でアップデートするなどの最先端技術を装備する。
パーソン社長はC40を皮切りに、日本でも毎年「一車種以上のEVを投入し、2030年には完全なピュアEV販売会社になる」と強調した。
また、ボルボ・カーズにとってサスティナブルは、「単に電動車のラインナップを拡充するものではない。開発、製造、使用、リサイクル、リユース、全ての領域で包括的な視点で取り組み、2040年のクライメート・ニュートラルの実現を目指す」とも述べた。
ボルボは安全性分野でも先駆的な取り組みを展開してきたが、今回のピュアEV化宣言を契機に、「急成長するプレミアムEV市場でリーダーを目指す」と強調した。