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2021年3月3日【経済・社会】

ボルボ・カーズ、全車種2030年迄にBEVへ

松下次男

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 スウェーデンのボルボ・カーズは3月2日、2030年までにすべてのクルマをピュア電気自動車(EV)にするとともに、EVはすべてオンラインのみで販売すると発表した。そのEV専用モデル第1弾となる「C40」を東京、ミラノ、ニューヨークで公開。日本市場には今秋、投入する予定だ。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 このところ欧州メーカーを中心に脱内燃機関を表明するところが相次いでいるが、ボルボは販売手法まで踏み込んで変革を加速する。
 オンラインでボルボの電動化戦略を表明したホーカン・サムエルソンCEOは、ビジネスの進化について「電動化と充電インフラへの投資がカギになる」と述べたうえで、「2025年までに販売台数の半分をピュアEVに、2030年までにすべてのクルマがEVになる」と強調した。

 

 そしてカスタマケアについて「電動化するだけでなく、お客様に耳を傾けなければならない」とし、EVの販売チャネルを分離、オンラインのみで販売する方針を示した。その理由として「同じ価格で提供し、公平、透明性を保つ」ためとした。
 ボルボ・カーズの2020年下半期の世界販売はコロナ禍にも関わらず39万1751台と前年同期比7・4%増の伸びを達成。その中で、外部充電可能なリチャージ車のプラグインハイブリッド車(PHV)が約3分の1を占めるなど車両電動化が一層、加速した。

 

 市場をみても、北欧をはじめドイツや英国などで電動車比率が急速に高まっており、とくにこの1年ほどで一気に成長したのがピュアEV。また、気候変動への対応は自動分野も責務の一つとの考えを示し、ハイブリッド車(HV)を含む内燃機関搭載車に代え、ピュアEVメーカーを目指す方針を打ち出した。

 

 そこで具体的なEV化の第一歩として投入するのがクロスオーバーEVモデルの「C40」。そのモデル公開の一つの会場となったのが東京のボルボ・カー・ジャパンのショールームである。
 ボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長は本体での電動化戦略表明を受け、日本でもハイブリッド車(HV)を含む内燃機関搭載車に代えて、「EVの販売比率を高め、2025年には35%、2030年には100%を目指す」方針を示した。
 具体的には2025年段階で、年間販売目標2万5000台のうち、9000台弱をEV車両とする計画だ。

 

 その第1弾となるC40を日本へ「今秋、投入する」と表明。世界的な販売方針に沿いEVモデルはすべてオンライン販売することになるが、最初の100台は新たなサブスクリプションプランで展開すると述べた。
 ボルボはこれまで「ケア・バイ・ボルボ」の名称でサブスク・サービスを展開してきたが、今後は利便性を高め、より幅広い顧客サービスへと衣替えする予定だ。
 ボルボのEV化戦略の第1弾となるC40はフロントとリアにツインモーターを搭載し、78キロワットのバッテリーは約40分で80%の急速充電が可能という。

 1充電当たりの航続距離は約420キロメートル。また、ソフトウェアをOTA(オーバー・ザ・エアー)でアップデートするなどの最先端技術を装備する。

 

 パーソン社長はC40を皮切りに、日本でも毎年「一車種以上のEVを投入し、2030年には完全なピュアEV販売会社になる」と強調した。
また、ボルボ・カーズにとってサスティナブルは、「単に電動車のラインナップを拡充するものではない。開発、製造、使用、リサイクル、リユース、全ての領域で包括的な視点で取り組み、2040年のクライメート・ニュートラルの実現を目指す」とも述べた。
 ボルボは安全性分野でも先駆的な取り組みを展開してきたが、今回のピュアEV化宣言を契機に、「急成長するプレミアムEV市場でリーダーを目指す」と強調した。 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。