ボルボ・カー・ジャパンは12月7日、ボルボ・カーズ・セーフティセンターの衝突実験施設が20周年を迎えたことを発表した。2000年の開設以来、世界で最も先進的な施設の1つとして、現在もその地位を維持している。
セーフティ・エンジニアのトーマス・ブロバーグは、「安全性にコミットするということは、テストに合格することや、安全性の高評価を受けることではありません。私たちの安全への取り組みは、事故や怪我がどのようにして起こるのか、なぜ起こるのかを解明し、事故や怪我を防ぐための技術を開発することです。私たちの先駆的な仕事によって、世界中で交通事故の犠牲者を減らすという私たちの強い願いに、他の人たちも同調してくれることを願っています」と述べている。
ボルボ・カーズ・セーフティセンターの衝突実験施設は、ボルボ・カーズのセーフティ・エンジニアが無数の交通状況や事故を再現し、規制要件を超えたテストを行うことができる多機能施設だ。
施設には、長さ108メートルと154メートルの2つのテストトラックがある。2つのうち、長さ108メートルのトラックは可動式で、0度から90度の間で角度をつけて配置することができ、異なる角度や速度での衝突テストや、動いている2台の車両の衝突のシミュレートが可能。車両は時速120kmまでの速度で衝突させることができる。
屋外には、車両の横転テストや、高速で溝に突入させて車線逸脱テストを行うためのスペースがあり、2020年初めには、ボルボ車を30メートルの高さから落下させ、極端な衝突事故でみられる大きな損傷のシミュレートを行なった。ここでは救助隊に救命技術を磨く機会も提供している。
メインホールの内部では、巨大な衝突障壁が使用され、前方、後方、側面からのさまざまな衝撃テストを行っている。この衝突障壁は850トンという重さを持ち、必要に応じてエアクッションを使って移動させることができる。そのほかにも、動物の衝突をシミュレートするためにヘラジカのような構造を含む、約2ダースの固定式および可動式の障壁が衝突試験に使用されている。
衝突時には、車両、衝突試験用ダミー、障壁にそれぞれセンサーが取り付けられており、何十台もの超高精細カメラが、想像できるあらゆる角度から衝突テストを撮影している。これによりボルボ・カーズのエンジニアが一連の事象全体を詳細に記録することができる。
物理的な衝突テストを行う前に、対象の車種は既に何千回もの衝突テストをコンピューターでシミュレートされており、これらのテストで得られたデータはすべて、ボルボのエンジニアがより安全な車を開発するために使用される。
ボルボが全車電動化の未来に向けて動き出す中、セーフティセンターは近年、電気自動車の衝突テストを安全に実施するための準備を進めているという。
「どのようなシナリオであっても、ボルボ・カーズ・セーフティセンターで再現し、詳細に分析することができます。私にとっては、1時間ごとのテストと分析を行うごとに、新しいボルボ車で一人も死亡者や重傷者を出さないという、私たちの目標に近づいていると実感することは、とても刺激的なことです」とトーマス・ブロバーグは述べた。