寝ている子供が柔らかく、そして微かな呼吸をしている姿を想像してみて欲しい
乗用車メーカーのボルボ・カーズは9月27日(北欧中央時)、車内の子供の呼吸などの僅かな動きを検知する高感度システムを実装した。( 坂上 賢治 )
今回ボルボ・カーズのエンジニアが開発した新しい車内レーダーは、寝ている小さな子供の胸の呼吸のような、サブミリメートル(1mm未満)のわずかな動きも正確に検知できるよう高感度に設計されたもので、荷室を含む車内全体をカバーする。
この新たな車室内用のレーダーシステムは、近日発表予定のSUV系EV EX90に搭載される予定だ。この装備は、多くの家族にとって現実的に起こり得る悲劇を防ぐために設計された。
ちなみに米国政府の統計によると、1998年以降、米国で900人以上の子供が高温の車内に放置され死亡している。こうした熱中症による死亡事故の多くは、子どもが車に乗っている事をドライバーや家族が忘れていたために起こっている。
なおこの車載レーダーシステムは、使用される60GHzの周波数が車載用として認可されているすべての国で標準装備される。
ボルボ・カーズでは現在、各市場での認可取得に向けて継続的に取り組んでおり、認可が下り次第、システムを稼働させる予定だ。
多くのドライバーで起こり得る注意散漫や疲労をサポートするシステム
ボルボ・カーズで傷害予防のシニアテクニカルスペシャリストを務めるロッタ・ヤコブソン氏は、「私たちは誰も置き去りにされたり、忘れられたりする事のないように手助けをしたいと考えています。
当社の新しい車内レーダーシステムは、まず11月9日に公開されるボルボEX90に、規制が許す限り標準装備として搭載・展開される予定です。また今後発売されるボルボの他の車種にも搭載される予定となっています。
このあなたをサポートするシステムは、オーバーヘッドコンソール、天井のリーディングランプ、荷室に内蔵されたセンサーにより、車内全体のサブミリメートル(1mm未満)の動きを検知する事が出来る初めてのシステムです。
車内を出来るだけ広くカバーし、子どもやペットの車内への置き去りを検知するため、後方の荷室を含む車内全域をカバー出来るようにレーダーを配置しました。
多くのドライバーで起こり得る注意散漫や疲労は、自ら望んでその状態になる人はいません。しかしながら、私たちはそれが起こりうるということを判っています。
私たちは皆、人間であり、注意散漫な状態は常日頃から起こる事です。最先端技術の助けを借りて、あなたがベストな状態でない時にサポートし、誤って家族やペットを置き去りにしないようにします。
車内に残された家族の可能性を知らせる最適なタイミングは何時か良いのか
必要な時に通知すること。そしてリマインダー疲れを回避するために、私たち専門家は、車内に残された家族の可能性を知らせる最適なタイミングは車をロックしようとする時であると判断しました。
そこで車をロックしようとする度に車内レーダーが作動し、車内に人やペットが居ないかどうかを判断してからロックします。
もしも車内に家族やペットが居る事が確認されると、車のロックを出来ないようにし、センターコンソールのスクリーンに車内に乗員が居るかどうかを確認するためのリマインダーが表示されます。
また人やペットが車内に居る事を検知した場合、車の空調システムをオンにしておくことで、快適性を向上させる事が出来ます。また低体温症や熱射病のリスク低減にも役立ちます。(空調システムは、ハイボルテージバッテリーの充電が充分である限り作動し続ける)
私たちは常に安全性のリーダーであり続け、自動車の安全性に新たな基準を設ける事で、人々の命を守り続けたいと考えています。
それは、お客様に安全と安心を感じて頂く事でもあります。そのような心の安全があれば、人生を最大限に楽しむ事が出来ると同時に、悲劇を未然に防ぐ事が出来るのです」と語っている。