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2021年11月2日【SDGs】

ボルボ・カーズ、クリーンエネルギーへの投資拡大を要請

NEXT MOBILITY編集部

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ボルボ・カーズは11月2日、世界のリーダーやエネルギー供給者に対し、ボルボ・カーズやその他の電気自動車が気候変動に関して真の可能性を発揮するために、クリーンエネルギーへの投資を大幅に増やすよう呼びかけた。

 

この呼びかけは、ボルボ・カーズの最新の電気自動車(BEV)のライフサイクル全体の二酸化炭素排出量に関する報告書が新たに発表されたことに合わせて行われた。この報告書によると、クリーンなエネルギー源を使って自動車を製造し、充電した場合、二酸化炭素を大幅に削減できる可能性がある。

 

また、グラスゴーで開催されている国連のCOP26気候サミットでは、政府首脳や産業界のトップが気候変動対策のための二酸化炭素排出量削減計画の見直しについて議論し、発表している。

 

ボルボ・カーズは、2030年までに完全な電気自動車メーカーになることを目指しており、業界で最も野心的な電動化計画の一つとして、今後数年間で電気自動車の新シリーズを展開する予定。これは、2040年までにクライメート・ニュートラル企業になるという高い目標の一環であり、事業全体で一貫して二酸化炭素の排出量を削減することを目指している。

 

しかし、ボルボの電気自動車が二酸化炭素削減の可能性を最大限に発揮するためには、政府やエネルギー部門の協力が必要となる。ボルボC40 Rechargeの新しいライフサイクルアセスメント(LCA)の報告書が示すように、ボルボの電気自動車の製造と充電にクリーンなエネルギーが利用できるかどうかで、CO2排出量に大きな違いが生じるとしている。

 

ドライバーがC40 Rechargeを風力発電などのクリーンエネルギーで充電した場合、車のライフサイクルにおけるCO2排出量は、従来の内燃機関(ICE)エンジンを搭載したボルボXC40の半分以下になる。化石燃料で発電した電気で充電すると、その差は遥かに小さなものになる。

 

ボルボ・カーズのCEOであるホーカン・サムエルソンは、「私たちは、完全な電気自動車メーカーになること、そして業界のリーダーになることを意識し戦略的に決定しましたが、私たちだけでクライメート・ニュートラルへの移行を実現することはできません。世界中の政府やエネルギー企業に、クリーンエネルギーの供給能力や関連する充電インフラへの投資を強化してもらい、電気自動車がよりクリーンなモビリティを実現できるようにしなければなりません」と述べている。

 

ボルボ・カーズの見解は、国際エネルギー機関(IEA)が発表した「2021年世界エネルギー投資報告書」にも反映されており、クリーンエネルギーへの投資は「緩やかな増加傾向」にあるものの、計画されている投資額は「気候変動による深刻な影響を回避するために必要な額をはるかに下回っている」と指摘している。

 

IEAの報告書によると、世界のクリーンエネルギーへの投資は、「気温上昇を2℃以下に抑えるためには2020年代に2倍、1.5℃の安定化に向けて可能性を残しておくためには3倍以上の投資が必要」。

 

ボルボ・カーズは、2019年に発売した初の電気自動車であるXC40 Rechargeを皮切りに、完全な電気自動車モデルごとにLCA報告書を発行している。これらの報告書は、様々なシナリオの下での車のCO2インパクトに関して完全な透明性を提供し、顧客に車の全体的な気候フットプリントに関する貴重な情報を提供する。

 

C40 RechargeのLCA報告書によると、クリーンな電源で発電された電気で充電した場合、そのライフサイクルCO2フットプリントは内燃機関を搭載したXC40の59トンに対して約27トンのCO2となる。

 

しかし、世界の平均的なエネルギーミックス(約60%が化石燃料)を使用してC40 Rechargeを充電した場合、車のライフサイクルCO2は50トンにもなり、従来のエンジン車に比べて環境面での利益は大幅に減少する。

 

電気自動車の生産に伴うカーボンフットプリントを削減するためには、クリーンエネルギーは重要な要素となる。LCAによると、C40 Rechargeの生産時の排出量は、ガソリンエンジンを搭載したXC40と比べて70%も高いことが判明した。これは主に、バッテリーとスチールの生産における二酸化炭素排出量と、自動車に占めるアルミニウムの割合が増加したことによる。

 

 

ボルボ・カーズは、これらの排出量に対処するために積極的な取り組みを行っている。例えば、SSABとのコラボレーションにより化石燃料を使用しないスチールを開発したり、バッテリー・サプライヤーとのコラボレーションにより100%再生可能エネルギーを使用してバッテリーを生産しようと計画している。

 

さらに、2018年から2025年の間に、平均的な自動車1台あたりのライフサイクルにおけるカーボンフットプリントを40%削減することを目指している。これには、2025年までにサプライチェーンにおけるカーボン排出量を25%削減することも含まれる。

 

また、自社のオペレーションにおいても、2025年までにクライメート・ニュートラルな製造を目指す。現在、ボルボ・カーズのヨーロッパのすべての工場は、すでに100%クライメート・ニュートラルな電力で稼働しており、スウェーデンのトースランダ工場とショブデ工場は、完全にクライメート・ニュートラルな工場に。中国の成都工場と陸橋工場では、クライメート・ニュートラルな電力を使用している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。