新型V60 Cross Country発売。2020年に向け、安全装備を一段と充実
ボルボ・カー・ジャパン(本社・東京都港区)の木村隆之社長は4月17日の新型「V60クロスカントリー(Cross Country)」発表会で、2019年の日本での販売台数見通しについて好調に推移しており、目標台数の1万8500台を上回り「2万台に届く可能性が出てきた」との見方を明らかにした。
1~3月実績でグローバルの販売台数を上回る二けたの伸びをみせており、スムーズが供給量の実現を前提に、こう発言した。また、死者・重傷者ゼロを目指すビジョン2020の実現に向け、新たなセーフティ・プロジェクトを2020年から順次、導入することも紹介した。
同日発表、発売した全面改良の新型V60クロスカントリーはプレミアム・ミッドサイズ・ステーションワゴンV60のクロスオーバーモデル。V60をベースにオフロード性能を高めたもので、最低地上高210ミリメートルを確保しながら、全高1505ミリメートルを実現。V60シリーズのガソリンモデル(プラグインハイブリッドを除く)で初のAWD(全輪駆動システム)車となる。パワートレインは2リットル4気筒直噴エンジンに、8速ATを搭載する。
スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ・カーは中国・浙江吉利腔股集団傘下で再建を進めて以降、急速に販売台数を伸ばしており、2018年のグローバル販売台数は前年比12・4%増の約62万2300台に達した。そのグローバルの伸びを上回るスピードで成長しているのが日本市場だ。2014年、15年は年販1万3千台のレベルだったが、16年には1万4千台を、17年には1万5千台を突破、そして昨年は1万7389台に達した。
木村社長によると、今年1月から3月までの累計台数でも日本市場はグローバルの伸び9・4%を上回る12・1%増と好調な販売を続けている。この要因の一つに2017年から導入した新車販売のサブスクリプション契約「SMAVO(スマボ)」など多様な販売を掲げた。スマボは新車販売の約16%を占めている。
一方で、世界的にボルボ・カーの販売が伸びていることもあり、XC、Vの40、60シリーズなどの商品の供給がひっ迫し、受注残を多数、抱えている。このため、木村社長はスムーズに供給されることなどで、「うまくいけば、今年の販売台数が2万台にとどく可能性もある」との見方を示した。この中で、クロスカントリーシリーズは先進国を主体にしているため、比較的、供給に余裕があり、新型V60クロスカントリーの日本市場投入に期待感を表した。ちなみに2018年は上位5位までのインポーターが年販2万台を超えた。
技術面からは、電動化などを見据えて導入したボルボ・カーのプラットフォーム「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」による展開が新型V60シリーズでほぼ一巡。今後は、さらに進化した「SPA2」へと発展させ、ボルボの思想ともいえる安全性を一段と強化していく考え。
具体的には、ボルボ・カーの「ビジョン2020」に対応し、新たなセーフティ・プロジェクト「E.V.A.」を展開する。ビジョン2020は、「2020年までに新しいボルボ車が関わる事故による死者・重傷者をゼロに」というものだが、現状では、この目標達成が難しい。
このため、ボルボの安全研究データの開放や、時速180キロメートルの速度制限、ケアキーの導入、ドライバーモニタリングカメラの車両搭載などのプロジェクトを進め、目標の実現を目指す。木村社長はスウェーデンで発表したこれらの新しいセーフティ・プロジェクト「E.V.A.」を紹介しながら、これらの安全機能を搭載した車両が2020年から順次、投入されるとの見通しを示した。
なお、V60クロスカントリーは「T5AWD」と「T5AWD Pro」の2タイプがあり、希望小売価格(消費税込み)はそれぞれ549万円、649万円。