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2024年11月25日【新型車】

フォルクスワーゲン、新型「パサート」の販売を開始

坂上 賢治

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プラットフォームは進化版のMQB evoアーキテクチャーを採用へ

 

フォルクスワーゲン ジャパン(VGJ)は11月25日、今年9月から予約注文を受け付けていた9世代目新型「Passat(パサート)」の販売を同日より全国のフォルクスワーゲン正規販売店で開始した。

 

パサートは1973年の発売以来、50年以上の歴史を誇るロングセラーモデルで、フォルクスワーゲンの伝説的なベストセラー「Beetle(ビートル)」を超える3,400万台以上が販売された。

 

9世代目となる新型パサートは、主力販売先の一角を占める欧州市場での影響を受けて、ワゴンボディ専用モデルとなり、シャシープラットフォームも従来型MQBアーキテクチャーの進化版にあたるMQB evoアーキテクチャーを採用。この結果、新たな最先端技術を背景とした装備が搭載された。

 

そのひとつとなるダンパーの減衰力や電動パワーステアリングの特性を素早く変化させられるアダプティブシャシーコントロール”DCC”では、ボリュームセグメント初となる2バルブ独立制御式の”DCC Pro”へ進化。従来では不可能だった複雑な制御を実現できるようになっている。

 

 

この装備の内部な仕組みは、伸び側/縮み側が独立したオイル回路となってるのが大きな特徴だ。それゆえそ減衰力を自在にコントロール出来るようになっている。要は同機能を活かすことで、本来は相反する筈のダイナミックな走行フィーリングと、快適な乗り心地をドライバーが求めるニーズに合わせて両立できる。つまりスポーツモードではフォルクスワーゲンらしい軽快なハンドリングを実現させ、一方でコンフォートモードでは快適なフラットライドを実現させられる訳だ。

 

その機能を更に高める”DCC Pro”とは、電子制御ディファレンシャルロック(XDS)を高度に協調制御する”Vehicle Dynamics Manager(ビークルダイナミクスマネージャー)”と組み合わされ、走行状況に応じて、その制御を4輪独立で可変制御することでステアリングレスポンスをより高度化させていてる。

 

車種グレードは装備拡充により3グレードを加えた計7グレード展開に

 

パワートレインは1.5L eTSIマイルドハイブリッドシステム(FWD)と、2.0L TDIクリーンディーゼルにフルタイム4WDシステム4MOTIONの組み合わせ。更に大幅にEV航続距離を伸長させられると謳うプラグインハイブリッドのeHybridをラインナップした。

 

48Vマイルドハイブリッドとなった1.5L 直列4気筒ガソリンターボエンジンは、燃焼プロセスに高効率なミラーサイクルを採用した上で、ガソリンエンジン用の可変ジオメトリターボを組み合わせて省燃費とトルクレスポンスを高めた。気筒休止するアクティブシリンダーマネジメント(ACT)も備わる。

 

2,200barのコモンレールを用いる2.0L 直列4気筒ターボディーゼルエンジンは2連式SCR噴射を採用したツインドージング型で、高いNOx除去能力を実現した。日本仕様では、TDIエンジンにフルタイム4WDシステムの”4MOTION”との組み合わせとなる。

 

一方eHybridは、1.5L eTSIをベースとしつつPHEV向けのチューニングを施した。システム総合出力150kW/350Nmを発生、総容量:25.7kWh、EV走行時最大使用容量19.7kWhのリチウムイオンバッテリーを介して、142kmのEV航続距離(等価EVレンジ、WLTCモード、国土交通省審査値)を実現した。

 

 

ボディは旧世代よりも拡張させて、上位セグメントに相当する4.9m級のボディサイズとなった。特に50mm延長されたホイールベースにより、リヤシートを中心に多人数乗車でも快適さが醸成できる。また最大1,920Lの荷室容量は、日本のステーションワゴンとして最大級の容量となっている。駐車支援システム”Park Assist Plus”も深化させ、既存からのステアリング操作に加えて、アクセル・ブレーキの自動操作が可能となった。

 

車種グレードは、”Travel Assist”やレーンキープアシストシステム”Lane Assist”、 レーンチェンジアシストシステム”Side Assist Plus”などの最新の運転支援システムをすべて標準装備とした『Elegance Basic』(1.5eTSIのみ)をエントリーグレードに設定。

 

15インチの大型タッチディスプレイを備えた純正インフォテイメントシステム”Discover Pro Max”やヘッドアップディスプレイを標準装備した『Elegance』と、専用エクステリアを持ち、専用シートや19インチアルミホイールを装着した『R-Line』の3グレードを加えて都合、計7グレード展開とした。

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グレード構成
– eTSI Elegance Basic : 1.5L eTSI(110kW/150PS) / 7速DSG / FWD
– eTSI Elegance: 1.5L eTSI(110kW/150PS) / 7速DSG / FWD
– eTSI R-Line: 1.5L eTSI(110kW/150PS) / 7速DSG / FWD
– TDI 4MOTION Elegance: 2.0 L TDI(142kW/193PS) / 7速DSG / 4WD
– TDI 4MOTION R-Line: 2.0 L TDI(142kW/193PS) / 7速DSG / 4WD
– eHybrid Elegance: 1.5L eTSI PHEV (110kW/150PS) / 6速DSG / FWD
– eHybrid R-Line: 1.5L eTSI PHEV (110kW/150PS) / 6速DSG / FWD

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新型「Passat」 諸元表(抜粋版)
( ):電動パノラマスライディングルーフ装着車 *( ):DCC Pro装着車 < >:DCC Proおよび電動パノラマスライディングルーフ装着車
*:ハイブリッド燃料消費率(WLTCモード)
*1:プラグインレンジ、国土交通省審査値
*2:等価EVレンジ、国土交通省審査値
・燃料消費率は定められた試験条件の下での値(国土交通省審査値)。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン 使用等)に応じて実際の燃料消費率は大きく異なる。
・WLTCモードは、市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード。市街地モードは、信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定し、郊外モードは、信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定、高速道路モードは、高速道路等での走行を想定している。
・ハイブリッド燃料消費率および一充電走行距離、EV走行換算距離は定められた試験条件での値(国土交通省審査値)。 実際の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて数値は異なる。特に1日当たりの走行距離、エアコン使用およびバッテリーの充電状態による影響を大きく受ける。

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新型「Passat」主要装備表

*1:レザーシートパッケージ
*2:DCC Proパッケージ(*1とセットプション)
*3:R-Line Plusパッケージ(*2とセットオプション*1、*4、*5と同時選択できまない)
*4:Luxuryパッケージ(1、*2とセットプション)
*5:電動パノラマスライディングルーフ(eHybrid Eleganceでは*1、*2とセットオプション、eHybrid R-Lineでは*1とセットオプション)

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<オプション>
レザーシートパッケージ*1
 - レザーシート
 - パワーシート(運転席/助手席<前後/高さ/角度/リクライニング>、運転席メモリー付)
 - シートベンチレーション/リラクゼーション機能(運転席/助手席)
 - 電動格納式リモコンドアミラー
 (ヒーター、自動防眩機能<運転席>、メモリー、リバース連動機能<助手席>付)

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DCC Proパッケージ*2
 - アダプティブシャシーコントロール”DCC Pro”
 - プログレッシブステアリング

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R-Line Plusパッケージ*3
 - R-Line Plus専用エクステリア/インテリア
 (専用デザインバンパー/リヤコンビネーションランプトリム/19インチホイール、ブラックペイント
 ルーフ&ルーフスポイラー、専用デザインレザーシート、専用マイクロフリースルーフライナー)

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ラグジュアリーパッケージ*4
 - プレミアムサウンドシステム”Harman Kardon”(総出力700W、16チャンネル・13スピーカー)
 - 電動パノラマスライディングルーフ(電動サンシェード、UVカット機能付)

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電動パノラマスライディングルーフ*5
 - 電動パノラマスライディングルーフ(電動サンシェード、UVカット機能付)

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有償オプションカラー:オリックスホワイト マザーオブパールエフェクト

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車両本体価格(税込)

モデル_グレード_メーカー希望小売価格(税込)
Passat_eTSI Elegance Basic_¥5,248,000-
Passat_eTSI Elegance_¥5,530,000-
Passat_eTSI R-Line_¥5,764,000-
Passat_TDI 4MOTION Elegance_¥6,224,000-
Passat_TDI 4MOTION R-Line_¥6,458,000-
Passat_eHybrid Elegance_¥6,559,000-
Passat_eHybrid R-Line_¥6,794,000-

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オプション価格(税込)
対象グレード_オプション名称_メーカー希望小売価格(税込)
– eTSI Elegance / R-Line
– TDI Elegance / R-Line
– eHybrid Elegance / R-Line
 _レザーシートパッケージ(Elegance) _ ¥176,000-

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– eTSI Elegance / R-Line
– TDI Elegance / R-Line
– eHybrid Elegance / R-Line
 _ レザーシートパッケージ(R-Line) _ ¥297,000-

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– eTSI Elegance / R-Line
– TDI Elegance / R-Line
– eHybrid Elegance
 _DCC Proパッケージ _ ¥176,000-

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– eTSI R-Line
– TDI R-Line
– eHybrid R-Line
 _R-Line Plusパッケージ(eTSI R-Line/TDI R-Line) _ ¥627,000-

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– eTSI R-Line
– TDI R-Line
– eHybrid R-Line
 _R-Line Plusパッケージ(eHybrid R-Line)_ ¥451,000-

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– eTSI Elegance / R-Line
– TDI Elegance / R-Line
 _ラグジュアリーパッケージ _ ¥297,000-

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– eHybrid Elegance / R-Line
 _電動パノラマスライディングルーフ _ ¥165,000-

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– eTSI Elegance Basic
– eTSI Elegance / R-Line
– TDI Elegance / R-Line
– eHybrid Elegance / R-Line
 _有償オプションカラー(オリックスホワイト MoPE)_ ¥77,000-

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。