今後、フォルクスワーゲンではこの新シャシーを使ったID.ファミリー(シリーズ)のうち、まずは完全なコネクテッド機能を備えた4ドア・コンパクトカーのID.モデルを来る2020年に発売予定だ。またその車両価格は、既存のゴルフ・ディーゼルとほぼ同じ価格帯になるという。
加えてゼンガー氏は、ID.用シャシーの技術的な優位点についても語った。その説明のなかでも特にEV向けとして優れている点を挙げ、それは「電気モーターとギヤボックスが一体となってリヤアクスルに組み込まれ、バッテリーが他のコンポーネントと共に、車両のフロア下に効率よく搭載されていること」だともいう。
ゼンガー氏は「このパワーユニットと蓄電池の新しい発想に基づくレイアウト思想によって、既存の内燃機関車両では実現し得なかった最適な重量配分と優れた走行性能が実現しています。また独特の長いホイールベースと短いオーバーハングによって、乗員が利用するキャビンスペースでも、ひとクラス上のセグメントに匹敵する余裕ある居住空間が確保されています。
これは内燃エンジンが搭載されていないことで、前後アクスルを車両のより外側に追いやって配置できることから実現したものであり、電気モーターからリヤアクスルへのパワーの伝達もギヤボックスを介してより効率的に伝えられる仕組みとなっています。
なお今後登場する予定の複数のID.モデルの実性能は、搭載バッテリーの性能毎にWLTP基準で330〜550kmの範囲の航続距離を可能にし、125kWhの急速充電システムを利用することで充電時間も大幅に短縮されます。
その実力は30分以内に最大80%の充電が可能になるもので、これは第2世代のe-ゴルフの300km、WLTP基準換算での231kmを大きく超えるものとなります。つまり、もはや長い旅行や休暇が、新たなEVでは全く問題ではなくなることを意味しています。