ヴァレオは9月8日、ミュンヘンで開催中のIAAモビリティで公開している、同社のイノベーションについて発表した。
■より安全なモビリティ
コロナ禍により、健康と安全の大切さが改めて注目されている。ヴァレオはイノベーションによってこれらのニーズに応えるとし、その一例として、バス用のUV空気清浄機を紹介する。このUV空気清浄機により、乗客を乗せて走行中の車両から、ウイルス、微生物、バクテリアの95%以上を除去。また、乗用車向けには、アレルゲンの96%とウイルスの99.4%をブロックする非常に効果的なエアフィルターを開発。今後5年以内に、新しいモデルの2台に1台に、このようなフィルターが取り付けられる予定だとしている。
また、ヴァレオのテクノロジーは車両以外の分野にも拡がっている。ヴァレオは、いくつかの病院や研究機関と共同で、2分未満の非接触プロセスを使用して、患者の健康リスクを評価できるバイタルサイン検出器を開発。IAAモビリティで初めて発表されたこのデバイスは、ヴァレオのドライバーモニタリングシステム(DMS)をベースにしており、まもなく量産車に搭載される。
また、より安全なモビリティのために、ヴァレオは先進運転支援システム(ADAS)をイノベーションの重要な焦点にしている。自動車業界で最も幅広いセンサー製品のポートフォリオと、収集されたデータを集約する電子制御ユニットを取り揃えたハードウェアに加え、ますます重要性が高まっているソフトウェアにも注力しているという。
このショーで発表されるイノベーションの一つに、ヴァレオの自動バレーパーキングシステムがある。車載運転支援システムの発展形として、ヴァレオのカメラと駐車場に設置されたソフトウェアは、車両の自動駐車を実行する上で重要な役割を果たすとしている。
さらに、IAAモビリティでは、ヴァレオの自動運転車のプロトタイプDrive4Uによるデモンストレーションも実施。ヴァレオのLiDAR、カメラ、レーダー、超音波センサーなど、すでに量産しているセンサーのみを搭載したプロトタイプは、ミュンヘンの公道を走行し、レベル4の自動運転を行う。安全性を高める機能として、自車の位置をセンチメートルレベルの精度で正確に特定するヴァレオ Drive4U Locateテクノロジーや、車の周囲の人々を検出して移動する前にブレーキをかけるヴァレオMovePredict.aiシステムが搭載されている。
■よりクリーンで多様なモビリティ
欧州委員会が炭素排出量をさらに削減し、モビリティを根本的に変革するための新たな措置を公表したのに先立ち、ヴァレオは取り組みを始めている。ヴァレオは、自動車をはじめとするあらゆる種類の車両に加えて、自転車、スクーター、配送用ドロイドなどの新しい都市型モビリティソリューションの電動化に貢献。これらのソリューションの実演を、IAAモビリティとミュンヘンの公道で実施する。
ヴァレオの電動化に関する技術プラットフォームは、廉価な48Vソリューションから、合弁事業のヴァレオシーメンスeAutomotiveによって開発された最もパワフルなシステムまで、すべてのセグメントと用途をカバー。IAAモビリティ2021では、ドイツのプレミアムブランドによる電動レンジのフラッグシップ車両も展示される。
また、ヴァレオは、電動技術のポートフォリオに加えて、電動化革命に不可欠なサーマルマネジメントにも取り組んでいる。バッテリー冷却、ヒートポンプ、電気コンプレッサーをカバーする包括的な専門知識と、車室内の温度を快適に保つ最適化されたサーマルコンフォート技術によって、電気自動車の開発において重要な役割を果たすとしている。
そしてヴァレオは、IAAモビリティにおいて、新しい充電ステーションを備えた電化エコシステムを初公開する。あらゆるタイプの電気自動車とプラグインハイブリッド車に対応し、もっとも安価な電力か、太陽光や風力などのグリーンソースから供給される電力による充電が可能。また、車両で使用されない電力を、電力網や特定の電気機器に再分配することも可能になっている。