「世界最速の男」ウサイン・ボルトが電動キックボードで日本市場に殴り込み
100メートルの世界記録保持者のウサイン・ボルト氏が出資・創設者の一人である米ボルト・モビリティは10月15日、超小型モビリティに関する日本での事業展開について会見を行った。米国やフランスに続き、日本でも電動キックボードのシェアリングサービスを計画しており、まずは2020年までに大学構内など私有地を中心に約40カ所での展開を目指すという。(経済ジャーナリスト・山田清志)
「私が最初のデザインから関わった」
「全部が魅力。私は最初のデザインから関わっていて、人の目に入る最初の色といわれる黄色を採用し、しっかりとしていて安定しており、バッテリーの交換も可能。それに加えて、カップホルダーや充電用のポートも付いていて、荷物を載せるスペースもある。また、両側に足を乗せるパネルがついているので、誰でも乗りやすい」
ボルト氏は電動キックボードについてこう紹介した。名前は「ボルト チャリオ」と「ボルト ワン」で、両方とも大きさやモーター出力(250W)、最高速度(24.1km/h)は同じで、最大傾斜15度の坂を登ることができる。
違うのは、ボディの形状、バッテリー、総重量、1充電当たりの走行距離。チャリオのほうがワンよりも少し大きく、チャリオが48Vバッテリー、ワンが36Vバッテリーを搭載し、それぞれ走行距離が55km、40kmとなっている。
ボルト・モビリティは現在、米国のフロリダ州、カリフォルニア州、バージニア州などの14カ所と、フランスのパリで電動キックボードを使ったモビリティサービスを展開している。
電動キックボードは欧米を中心に普及が加速しており、自動車よりも近距離をカバーする移動手段として注目されている。日本では、米国のライムが福岡で実証実験を始めるほか、ループ(本社・東京都渋谷区)やモビーライド(本社・福岡県福岡市)なども自治体と組んで実証実験に乗り出している。
ただ日本で公道を走るには、原動機付き自転車免許が必要で、ヘルメット着用が義務づけられている。また、ナンバープレートを取得し、ミラーやウインカーといった保安部品を装着しなければならない。しかし、私有地ならこれらのものは必要ないが、ヘルメットの着用が推奨されている。
第2弾は「ボルト ナノ」というEV
共同CEOで共同創設者のサラ・ヘインズ会長は「移動や街づくりで革命を起こしていくために新しいモビリティを投入することを思いついた。公共交通機関を降りた後のラストワンマイルの利便性を確保することと、乗り手の意思を可能な限り尊重できる自由な乗り物を実現したい」と電動キックボードを使ったサービスを始めた理由を話し、こう付け加えた。
「これからわれわれが新たな業界基準を確立し、クリーンで効率的な移動を提供しながら、社会のラストワンマイル問題を解消していく」
こんな思いに賛同して、ボルト氏は創設者のメンバーに加わったわけだ。「人々の移動を変えていくという、自分のモビリティビジネスにワクワクしている」とボルト氏。そして、2020年の発売を視野に「ボルト ナノ」という電気自動車(EV)の開発を進めていることを明らかにした。