UDトラックスは、スマートロジスティクス実現へ向けての次世代技術ロードマップ「Fujin & Raijin(風神雷神)―― ビジョン2030」を、4月23日に発表した。
ロードマップでは、深刻化する社会や物流業界の課題解決に貢献するため、次世代技術の要である自動化と電動化分野に主眼を置き、大型トラックの特定用途での自動運転や電動駆動における様々なソリューションを提供する2030年までの取り組みを提示。
創業以来の「時世が求める商品・サービスを提供する」という同社ビジョンのもと、2020年にかけて特定用途での実用化をし、これをベースに2030年に向けて完全自動運転および大型フル電動トラックの量産化を実現するとしている。
電子商取引の増大で、小口配送の需要は、2030年までに14年比で50%増えるとの予測がある一方、排出ガス問題やドライバー不足が深刻化。UDトラックスでは、こうした課題を解決し運送業者が求めるトラックを提供するためには、自動運転と電動化の技術革新がカギになるとしている。
同社会長のヨアキム・ローゼンバーグ氏は、4月23日、在日スウェーデン大使館開催のロードマップ発表会で、「当社のビジョンである時世が求める商品・サービスを提供するため、私たちはいつの時代も独自のアプローチで取り組んできました。そして今、将来を見据え、世界は生産性・効率性の高い物流―スマートロジスティクス―を必要としていると確信しています」と強調した。
UDトラックスの次世代技術ロードマップにおける自動化の取り組みは、モノを動かす力を象徴する風の神「風神」、また電動化の取り組みは電気エネルギーの力を象徴する雷の神「雷神」から着想。「Fujin & Raijin (風神雷神)――ビジョン2030」では、自動化と電動化を軸に、コネクティビティ(つながるトラック)とデジタル化の進化を通して、輸送をよりスマートにするための取り組みを示していくと云う。
[自動運転]
現在、工場の構内や港湾などの一定区域での安全な低速自動運転技術を開発。また高速道路での自動運転や協調型車間距離維持支援システム(CACC)によるトラックの隊列走行技術、そして長期的にはこれらをさらに進化させた一般道での高度自動運転の開発を進めている。
[電動化]
環境負荷軽減の一環として、現在、エネルギー効率や積載量、航続距離、静粛性を最大限に確保したゼロエミッション大型トラックの実現に向けた技術を開発。バッテリー技術が進化する中、バッテリー型電動トラック、パラレルやシリーズ型電動トラックなどの実験を行っている。
[コネクティビティとデジタル化]
日本国内で販売する車両に搭載したテレマティクスシステム「UDインフォメーションサービス」を通じ、約4万5000台の車両から収集したデータを解析、車両の稼働率向上に活用。またユーザーの運転状況から収集したデータを、より安全で信頼性の高いトラックの開発に役立てている。
開発部門統括責任者のダグラス・ナカノ氏は、「2017年の新型クオンの発売を機に、スマートロジスティクスの未来をひらくという信念のもと着実に前進しています。今回発表したUDトラックスの次世代技術ロードマップは物流業界と社会に大きく貢献できると確信しています。世界中のお客様に当社のソリューションや利点を理解していただくことが、最終的には皆さまの暮らしに役立てると信じています」と抱負を語った。
UDトラックスは、2018年以内に自動運転と大型電動トラックのプロトタイプを実証、東京モーターショー開催の2019年までに顧客と共に実証運行を実施。そこから得た知見を開発に反映し2020年までに特定用途で実用化。
これらを基盤に2030年までに、完全自動運転と大型フル電動トラックの量産化を目指すとしている。