より詳細には米国の自動車マーケットは、これまでのような国や地域単位から、150を超える「アイランド・オブ・オートノミー」(島のように散在する自律型モビリティ社会)へと変化するとしている。
これは大都市圏で都市ごとに異なる消費者の移動ニーズに対応し、そこでの移動ニーズの多くは、自律型モビリティサービスによって満たされるとした。
KPMG米国で同調査を担った自動車セクターリーダーのゲイリー・シルバーグ(Gary Silberg)氏は、「近い将来、破壊的革新をもたらす新たな交通手段が登場します。
それは完全自動運転車とモビリティサービスの組み合わせで、これによって全世界で1兆ドル規模の新たな市場が出現します。
ただし、この新しい自動車の利用環境は、何処でも直ちに実現する訳ではありません。今後、我々が『アイランド・オブ・オートノミー』と名付けた大都市圏で順次実現されていくでしょう。
そして、このアイランドの地域性毎に異なる消費者ニーズに合った車種が求められるようになります。その結果、その地域の自家用車の車種構成、特にセダンは大きな影響を受けることになるでしょう」と語った。
米国内には人口30万人以上の異なる地域社会が169存在する
実は米国では国勢調査局の用語で、「合同統計圏(CSA:Combined Statistical Area)」と呼ばれる、人口30万人以上の地域社会が169地域ある。
このCSAは、周辺地域と経済的・社会的に結び付いた隣接する大都市と小都市から構成された広域都市圏(消費経済圏)を指し、個々のCSAは、アイランド・オブ・オートノミーの人口統計的特性と合致している。
KPMGの米国法人では、自社の地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を使用して、シカゴ、アトランタ、ロサンゼルス-サンディエゴの3つの広域都市圏で匿名化された携帯電話のモバイルビッグデータを分析。
これによって個人の移動に関する場所(緯度・経度)と移動時間を割り出し、CSAごとの特徴の解析を行った。
その結果、移動距離、平均移動時間、推定乗車人数に関して、それぞれのアイランドごとに異なる特徴が存在することが明らかになった。
自動車メーカーは、アイランドごとに異なる消費者ニーズに合った車種を特定するために、「環境」、「移動時間」、「移動距離」、「乗車人数」という4つの要素に加え、速度(時間と距離から算出)の他、「出発地/目的地」、「移動目的」などの複雑なデータ分析が求めらるようになる。
複数の自動車メーカーが工場を閉鎖し、セダン市場から撤退する