ステランティス傘下のフィアットは12月19日(イタリア・トリノ発)、同ブランドのピープル・ムーバー、E-Doblò(e-ドブロ)とE-Ulysse(e-ユリス)の刷新内容を明らかにした。車両の受注開始は、1月末までに正式に始められ、まずはイタリアとオーストリアでリリースを開始。続いてヨーロッパの主要市場へと順次展開される予定だ。
この電動多目的車は、昨年2022年に10年振りにE-Ulysseとして復活したピープル・ムーバー・シリーズであり、フィアットにとっては欧州市場でマーケットシェア拡大を担うための戦略車両のひとつだ。
その性格づけは、ユーザーフレンドリーな車体を持ち、直観的な新インフォテインメントシステムと次世代ADASを実装した製品であり、日常での使い勝手の良さと親しみ易さを訴求する身近な電動モビリティとして、今回は、昨年発表した先代モデルよりも、更に効率性を高めたパワートレインを介して航続距離の拡大を果たしている。
そうしたなか新型E-Doblòは、より多くの利用用途に適合させるべく、より日常の使い勝手に磨きを掛けたモデルとなっている。車体は2つの開口部が設けられ、より低められたスキッドプレートを実装させた上で17インチホイールを履かせて走行安定性を向上させた。
乗員のためのキャビン空間は、スタンダード仕様では2列目に3人乗りの独立シートを用意しつつも、荷物の積載スペースを3,500リットルまで拡張できるようにするなど利用者側の多様なニーズに応えるシートバリエーションが用意されている。
なお後部ドアは、全てを跳ね上げること無く上面のウインドウから荷物を積んだり、取り出したりできる。また荷室空間の確保に関しては、最大容量18リットルや60リットルのプラス空間が確保するなど、フィアット側でMagicTOPと銘打った拡張オプションも用意される。
走行性能は、電動システムを介して0-100kmを11.2秒で駆け抜け、最高速度は135 km/h。WLTP複合サイクルで最大320kmの航続距離を刻む。運転モードはノーマル、エコ、パワーの3つ。
ステアリングホイールに搭載した2つのパドルを使用して回生ブレーキのレベルを低、中、強の3つから選択できる。充電機能では、最大100kW急速充電システムを利用すれば30分でバッテリー容量の80%まで充填可能だ。
ドライバー向けの快適装備では、巡航運転時に車間距離の維持に役立つアダプティブ クルーズ コントロールをオプションで用意。カラフルなタッチスクリーンディスプレイを備えたインフォテイメントシステムは、Apple CarPlayとAndroid Auto™に対応している。
対してe-ユリスは、ホテル、タクシー、VIP 送迎などの輸送サービスに適した仕様となっており、車体サイズは3列シートを配する程の室内空間を持ちながらも、郊外や市街地を問わず走行環境を選ばないコンパクトさが魅力の1台となっている。
BEVユニットは、用途に合わせて50kWhと75kWhの2つのモーターが用意される。航続距離はいずれもWLTPサイクルで50 kWhモデルが最大224 km。75 kWhモデルは最大350kmへと航続距離を伸ばせる。回生ブレーキレベルの選択は、ステアリング脇のパドル操作を介して低、中、強の3つから選択できる。
エクステリアは、電動車であることを印象付ける新たなフロントフェイシアを持たせた上でLEDヘッドランプを組み付けた。
対するインテリアでは、Apple CarPlayとAndroid Auto™システムに対応した大型10インチのHDタッチスクリーンに音声アシスタント機能。Bluetooth接続のApple CarPlayとAndroid Auto™システムに対応したオーディオ機能も備え、最上位バージョンには最新鋭ナビゲーションも搭載しつつも、数多くのコンパートメントスペースが備えられ、快適性を大きく向上させている。
乗客や荷物の組み合わせは多岐に亘り、7人乗り・8人乗りバージョンを筆頭に最大 9種の座席構成が選択できる。
また室内の上部には、外光を取り入れるための2枚のルーフウインドウを備えることもでき、後部ドアは、全てを跳ね上げること無く上面のウインドウから荷物を積んだり、取り出したりできるため、事業上の送迎用途ばかりではなく、休暇を利用した山や海へのレジャー旅行を含め、多目的用途のピープル・ムーバとしても理想的なパートナーになると謳っている。
ドライビングのための快適装備では、走行時の潜在的な危険を回避するADASにより、車両が車線を逸脱した場合にステアリング角度を即座に修正するレーン・キーピング・アシスト機能、衝突の危険が生じた場合に自律的にブレーキを作動させる緊急ブレーキ・システム機能。更に最新設計のサイド・エアバッグも備える。
また車体構造の手直しにより受動的安全性も向上。新たな180°リアカメラとアクティブクルーズコントロールも搭載されており、ドライバーがプログラムした値に車速を自動的に維持し前車との距離を自動的に調整するインテリジェント・スピード・アシスト機能、サイドパーキングアシストと前後パーキングセンサーによるブラインドスポット検出も搭載した。