トヨタ自動車は8月2日(日本時間)、新型ランドクルーザー (以下、ランクル)“250”シリーズを世界初公開した。なお、日本では特別仕様車「First Edition」を含め、2024年前半の発売を予定していると云う。
また併せて、ヘビーデューティーモデルの“70”を今冬、継続販売モデルとして日本に再導入(予定)することを発表。これにより、日本で再びランクル全3シリーズが揃うこととなる。
トヨタBJ型として1951年8月1日に誕生し、今年、シリーズ生誕72周年を迎えたランクルは、常に最新技術を導入しフラッグシップとして進化を担うステーションワゴン(“300”シリーズ)と、高い耐久性と走破性が求められるヘビーデューティーモデル(“70”シリーズ)、そして悪路走破性をベースに扱いやすさと快適性を付与し、人々の生活と実用を支えるライトデューティーモデル(”プラド”)と、これまで3シリーズを展開。現在までに約170の国と地域で、累計1,130万台(*1)が販売されていると云う。
*1:2023年6月時点。累計販売台数にはレクサス(LEXUS)LXおよびGXを含む。
Ⅰ.ランドクルーザー“250”シリーズの車両概要
ライトデューティー系クロスカントリー車では、世代が進化するごとに高級・豪華な路線にシフトする傾向にあるが、今回の“250”シリーズの開発に当たっては、商品の最終責任者である豊田章男社長(当時)から「ランクルは人々の生活、地域社会を支えるためのクルマであるべきで、より多くの人の生活を支えるライトデューティーモデルはお客様が求める本来の姿に戻す必要がある」という基本的な考え方が提示されたと云う。
これを受けて、開発陣は「The Land Cruiser:質実剛健を追求し、ユーザーの生活と実用を支え、ユーザーに信頼されるクルマ」という、ランクルの原点に回帰する開発コンセプトを定め、ランクルを作り直す精神で開発を推進。
ランクルの中核モデルとして、“300”シリーズと同じGA-Fプラットフォームを採用し、オフローダーとしての基本性能を大幅に向上させたほか、従来型以上にランクルにふさわしい力強い走りや環境性能を実現した多様なパワートレーンを採用。また、機能性を追求したパッケージと伝統とモダンを融合した内外装デザインを取り入れてランクルらしさを追求すると共に、新世代のランクルとしてオフロード・オンロードを問わず操縦のしやすさと快適性を向上、さらにクラストップレベルの先進安全性能も目指したと云う。
[主な特長]
1.基本性能を向上
“300”シリーズと同じGA-Fプラットフォームを採用し、悪路走破性を大幅に向上。かつ、「ユーザーの生活と実用を支えるクルマ」として、オンロードも含めた操縦のしやすさと快適性も向上させた。
・従来型比で大幅な剛性強化:フレーム剛性+50%向上、車両全体の剛性としては+30%向上。
・サスペンションの基本性能向上悪路走破性の指標となるホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)を向上。
・オフロード・オンロード双方での性能向上に繋がるシステムの採用。
– 電動パワーステアリング(EPS)悪路走行時のハンドル取られ低減、すっきりとしたステアリングフィール、低速時の取り回し性向上などに貢献、レーントレーシングアシストを実現。
– SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism トヨタブランド初採用)スイッチ操作で、フロントスタビライザーの状態を切り替え可能。オフロードの悪路走破性・乗り心地とオンロードでの操縦安定性を両立。
・マルチテレインモニター/マルチテレインセレクト機能拡充によるオフロード走行支援の向上。
2.多様なパワートレーン
「人の命や暮らしを支える」というランクルの使命を受け継ぎ、ランクルのDNAである「信頼性・耐久性・悪路走破性」を追求しながら、多様なアプローチ(マルチパスウェイ)でカーボンニュートラルを目指すトヨタの取り組みに基づき、ランドクルーザーに相応しい力強い走りや環境性能を実現する、ランクル初のハイブリッドシステムを含めた様々なパワートレーンを設定した。
<各パワートレーンの特徴>
(1)T24A-FTS ガソリン 2.4Lターボ ハイブリッド Direct Shift-8AT
– 最高出力:243kW(330PS)(*)
– 最大トルク:630N・m(*)
– 位置づけ:
上級版電動パワートレーン。オフロードはもとより、発進から登坂・トーイング時まで全域でワンランク上の加速性能と環境性能を両立。
– 仕向け予定地:北米・中国
(2)T24A-FTS ガソリン 2.4Lターボ Direct Shift-8AT
– 最高出力:207kW(281PS)
– 最大トルク:430N・m
– 位置づけ:
量販型ガソリンパワートレーン。新開発のTNGAパワートレーンにより、のびやかで力強い走り・静粛性・環境性能を実現。
– 仕向け予定地:中近東・東欧他
(3)1GD-FTV ディーゼル 2.8Lターボ(48Vシステム)Direct Shift-8AT
– 最高出力:150kW(204PS)
– 最大トルク:500N・m
– 位置づけ:
上級版ディーゼルパワートレーン。1GDの特徴に加え、市街地や渋滞時の実用燃費を向上。上質で静かなエンジン始動と、スムーズな走り出しも実現。
– 仕向け予定地:豪州、西欧
(4)1GD-FTV ディーゼル 2.8Lターボ Direct Shift-8AT
– 最高出力:150kW(204PS)
– 最大トルク:500N・m
– 位置づけ:
量販型ディーゼルパワートレーン。燃費・力強い走りで定評のある1GDと8ATの組み合わせにより、オフロード/オンロードでの扱いやすさを向上。一部国・地域で6ATを継続設定。
– 仕向け予定地:西欧・東欧、日本・中近東他
(5)2TR-FE 2.7Lガソリン 6 Super-ECT
– 最高出力:120kW(163PS)
– 最大トルク:246N・m
– 位置づけ:
良品廉価ベーシックパワートレーン。日常域での扱いやすさを改善。
– 仕向け予定地:東欧・日本他
*モータージェネレーター含めたシステム最大値。
3.パッケージと内外装
3-1)人や物を安全に運ぶためのパッケージ
安全なオフ/オンロード走行に貢献するため、低く設計されたカウルとインストルメントパネル上面によって、見通しのいい良好な前方視界を実現。悪路でも路面を見下ろしやすいように、ベルトラインも低く設計した。また、ランクル伝統のホイールベース数値とし、悪路走破性を向上させる一方、ミラー全幅は従来型以下とし、取り回し性を確保している。
また、壊れにくく、仮に壊れても修理しやすい設計を各所に取り入れつつ、より個性的にランクルを楽しめるカスタマイズへの対応にも配慮している。
<主要諸元(サイズ)>
全長:4,925mm(+100)/全幅:1,980mm(+95)全高:1,870mm(+20)/ホイールベース:2,850mm(+60)
*数値はプロトタイプ、()内は従来型との比較。
3-2)伝統とモダンを融合させたデザイン
伝統とモダンを統合しながら、Reliable(過酷な使用用途にも耐えられる信頼性)、Timeless(永く愛せる飽きのこないシンプルさ)、Professional(プロが使う、無駄のない道具に共通する洗練された機能美)をキーワードに外装・内装をデザイン。
外装は水平基調のデザインによって再現されたランクルらしいシルエットとし、内装は高級・豪華な雰囲気からリアルオフローダーらしい機能性を感じさせるデザインへとシフト。強さと安定感のある空間、水平基調のインストルメントパネルや、様々な環境で運転する時でも迷わず操作がしやすいスイッチ形状を採用するなど、悪路走行時も含めた機能性向上に貢献している。
4.先進安全性能:最新のトヨタセーフティセンスを採用
先進機能を付与し、対応する事故形態を一層拡大させた最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車に採用した。
Ⅱ.ランドクルーザー“70”の車両概要
“70”シリーズの特性を継承しつつ進化。継続販売モデルとして国内復活へ。
・力強い動力性能と低燃費を両立する2.8Lディーゼルエンジン&6ATを採用。
従来のガソリンエンジンから、高い信頼性を誇る1GDディーゼル 2.8Lターボエンジンへパワートレーンを一新。高トルク・高出力を兼ね備えたディーゼルエンジンならではのタフなオフロード性能を確保しながら、低騒音・静粛性への配慮、また燃費性能の向上にも取り組んだ。
・耐久性に優れ信頼度の高いラダーフレームを継続して採用するなど、優れたオフロード走破性を維持しながら、さらにオンロードでの乗り心地も向上。
<主要諸元>(プロトタイプ)
全長:4,890mm/全幅:1,870mm/全高:1,920mm/ホイールベース:2,730mm/エンジン:1GD-FTV ディーゼル 2.8L ターボ(最高出力 150kW(204PS)最大トルク500N・m)/トランスミッション6 Super ECT
<新型ランドクルーザー ワールドプレミア>
取締役・執行役員 デザイン領域統括部長 Chief Branding Officer Simon Humphries(サイモン・ハンフリーズ)氏によるプレゼンテーション