トヨタ自動車は11月16日、クルマのコモディティ化に抗する〝Hybrid Reborn〟を掲げて新型プリウスを発表。エモーショナルさを押し出し、愛車として永く愛用出来るクルマとしての価値を追求したという。( 坂上 賢治 )
そのスタイリングは、プリウスさを残したモノフォルムシルエットを受け継ぎつつ、19インチタイヤを採用。ワイド&ローなボディスタイルとした。なおハイブリッドシステムは第5世代に突入。電動による走行距離を前モデルに比べ50%向上させたと述べている。
但し、幅広い車種領域でハイブリッド車( HEV )が普及した事で、これまでプリウスが担ってきたハイブリッドの牽引役という役割が、もはや節目を迎えている事はトヨタも認識している。
そこで同社では、次の25年も消費市場に受け入れられるために、新しいプリウスはどうあるべきかを考えたという。
その選択肢は、〝よりコモディティに徹したクルマにする〟〝複数のカーメーカーへOEM供給する事で、より多くの走行距離を稼ぎCO2排出量の大幅削減を目指す〟また同様の意味で〝タクシー車両として世界へ向けて提供する〟など、様々な議論を重ねたとしている。
結果、新型プリウスの開発チームは車両コンセプトをコモディティ化へ振るのではなく、ハイブリッド車としての魅力をもっと強く押し出す事にした。それが同社の言う「Hybrid Reborn」だという。
そんな新型プリウスの車両概要は、「Hybrid Reborn」のアイコンとしてエモーショナルなデザインへシフト。内装デザインは「アイランドアーキテクチャー」コンセプトを打ち出し、圧迫感のない空間と運転に集中しやすいコックピットを両立。
室内全体は黒を基調にスポーティさと上質感を両立。インストルメントパネルには、トヨタ初採用の「イルミネーション通知システム」を設定。
ボディカラーは全8色を設定。うち2色は、スポーティな印象を与えるソリッドカラーベースの「アッシュ」と「マスタード」を新規に開発。
パワーユニットは、従来型から性能を高めた2.0Lプラグインハイブリッド(PHEV)システムと駆動用リチウムイオンバッテリーの組み合わせで、164kW(223ps)のシステム最高出力を達成。PHEVならではの加速性能は0-100km/h加速で6.7秒をマーク。
対してハイブリッドシステム車(HEV)では、2.0L車のシステム最高出力で144kW(193ps)と従来型比1.6倍とした。
なおルーフの開口幅を広げ、室内に開放感をもたらす「パノラマムーンルーフ」を設定。PHEVでは、太陽光をより効率よく電気に変える第3世代の「ソーラー充電システム」を設定して1年間で走行距離約1,250km分に相当する電力を提供出来るようにした。
車両自体の発売は、シリーズパラレルハイブリッド車(HEV)を今冬、プラグインハイブリッド車(PHEV)は2023年春頃の発売を予定。販路は日本を筆頭に北米・欧州などグローバル展開していく。また国内では、クルマのサブスクリプションサービス「KINTO」でも提供していく。具体的な提供プランは今冬に公表予定としている。