豊田通商は10月6日、グループ会社であるCFAO SAS(以下「CFAO」)と共同で設立したMobility 54 Investment SAS(以下「モビリティ54」)を通じて、西アフリカで物流デジタルプラットフォームサービスを展開するKamtar International(以下「Kamtar社」)のシリーズA資金調達ラウンドに参加し出資することについて合意したと発表した。
同ラウンドには、モビリティ54の既存出資先であり、東アフリカで物流デジタルプラットフォームサービスを提供するSendy Limited(以下「Sendy社」)、およびフランスのベンチャーキャピタルSaviu Venturesも参加した。Kamtar社とSendy社は、資本提携を通じて汎アフリカ物流デジタルプラットフォームの構築に向けて協業を開始する。
1.背景
急速な経済成長、eコマースの台頭、および2021年1月に開始されたアフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)の開始により、アフリカにおける効率的な物流ソリューションの需要が高まっている。世界銀行によるとAfCFTAの運用により2035年には大陸内貿易が2,940億米ドルから5,320億米ドルまで増加すると言われている。
アフリカの物流セクターは、国境を越えた物品の輸送手段の改善において極めて重要な役割を果たす。現在、同地域の物流セクターは非公式かつ細分化された構造のため輸送インフラが整っておらず、コスト高となっている。物流需要がますます増加するなか、現状の非効率性を解決すべく多くのスタートアップ企業が勃興し、輸送インフラの改善に取り組んでいる。
2.Kamtar社について
Kamtar社はアフリカの物流課題の解決を志向し2018年に設立されたスタートアップで、荷送人と、運送人(トラック運転手・運送会社)をデジタルプラットフォーム上でマッチングするサービスを展開している。同社プラットフォームのマッチング技術は、従来、荷送人と運送人の間で個別に交渉する必要があった価格・経路・日数などの輸送条件の交渉を簡素化し、より効率的な輸送サービスの提供を可能とする。さらに、同社プラットフォーム上で輸送経路と運送人の情報が一元管理されることにより、荷送人は荷積み・荷下ろしなどの各進捗状況をリアルタイムで入手することができ、透明性と信頼性の大幅な向上を実現している。
同社が事業を展開するコートジボワールとセネガルにおいて、建設会社・卸業者など400社以上の企業が同社のサービスを利用しており、プラットフォーム上に登録された4,000以上のトラック運転手・運送会社が輸送を担っている。
3.Kamtar社とSendy社への出資を通じた、今後の事業展開
Sendy社は、2023年までに汎アフリカ物流デジタルプラットフォームを構築するという長期戦略に基づき、今回、モビリティ54とともにKamtar社へ出資した。Kamtar社はSendy社に対しフランス語圏西アフリカにおける顧客ネットワークを提供し、Sendy社はKamtar社に対しプラットフォーム運営技術およびサービス範囲拡充のためのノウハウを提供することで相互補完し、両社サービスの拡大・強化を目指す。
豊田通商グループは、Kamtar社およびSendy社への出資を通じて、汎アフリカ物流デジタルプラットフォームの構築を支援するとともに、グループがアフリカ全域で展開する全ての事業領域(自動車、ヘルスケア、消費財など)において両社のサービス活用を推進する。また、CFAOおよびモビリティ54を通じて、アフリカで革新的な技術・サービスを展開するスタートアップ企業へ継続的に投資を行い、事業の拡大やサービス拡充への支援、および豊田通商グループのアフリカ事業との相互シナジーを創出していくことで、より包括的にアフリカの社会課題の解決に取り組んでいくとしている。